2022 Fiscal Year Research-status Report
数論と力学系との融合による擬似乱数および準乱数生成アルゴリズムの構築とその応用
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22K12197
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
斉藤 朝輝 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (60344040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 純一 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (90418905)
安富 真一 東邦大学, 理学部, 教授 (60230231)
村山 立人 公立小松大学, 生産システム科学部, 教授 (80360650)
山口 明宏 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (60281789)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 真軌道計算 / 擬似乱数 / 超一様分布列 / カオス / p進数 / ニュートン法 |
Outline of Annual Research Achievements |
擬似乱数および超一様分布列(low-discrepancy sequence; 準乱数とも呼ばれる)は,どちらも確率的シミュレーションの基礎として重要である.本研究課題では,数論的数の上の力学系を用いることによって,数論的アルゴリズムと力学系的アルゴリズムの良さを兼ね備えた新しい擬似乱数および超一様分布列の生成アルゴリズムの構築を目指して研究を行っている. 初年度にあたる令和4年度では,ニュートン法を使った真軌道擬似乱数生成の高速化に関して,誤差および計算量の評価を行った.ニュートン法では近似解しか得られないため,生成する擬似乱数列の長さに対してニュートン法を何回反復すれば真軌道計算の場合と(ほぼ)同じ擬似乱数列が得られるかの評価をしておく必要がある.ここでは,2次代数的整数の場合と3次代数的整数の場合とに分けて誤差の評価を行った.また,真軌道計算を用いる場合とニュートン法を用いる場合のそれぞれについて,計算量(computational complexity)の評価も行った.長さNの擬似乱数列を生成するのに必要となる計算量は,真軌道計算ではO(N^2),ニュートン法ではO(N log N)より少し大きくなることを示した.さらに,誤差を評価する過程で,ニュートン法から得られる擬似乱数列の最初のNビットが,真軌道計算から得られるものと一致するための十分条件が得られた.この条件がみたされるかは,ニュートン法から得られるビット列のパターンにより,簡単に判定できる. 超一様分布列の生成アルゴリズムの構築に関しては,p進数上の回転に相当する写像から生成される数列が,1次元超一様分布列であることを証明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和4年度に計画していた,ニュートン法を用いる場合の誤差と計算量の評価,およびp進数上の回転に相当する写像から1次元超一様分布列が生成されることの証明は,全て遂行できた.さらに,ニュートン法から得られる擬似乱数列の最初のNビットが真軌道計算から得られるものと一致するための十分条件も得られた.この結果は当初の計画では想定していなかったものだが,真軌道計算の場合と同じ擬似乱数列が得られていることを保証できる点で有用性が高い.以上から,本研究課題は当初の計画以上に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に沿って,数論と力学系との融合による擬似乱数および準乱数生成アルゴリズムの構築とその応用に関する研究を進展させる.
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Causes of Carryover |
本研究課題に関する対面での打合せを,一部の研究分担者と実施できなかったため,旅費に残額が生じた.次年度使用額は,図書および計算機用消耗品の購入にあてる.
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