2022 Fiscal Year Research-status Report
有限作用点の張力で慣性力を再現する非慣性系VR環境の開発
Project/Area Number |
22K12217
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
西山 雄大 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90649724)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | VR / 非慣性系 / 張力提示 |
Outline of Annual Research Achievements |
動きながら観察される空間を非慣性系といい、そこでは見かけの力=慣性力が働く。私たちは非慣性系に適応しているため、日常的に慣性力を 予測する。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を利用した仮想現実(VR)環境でもヒトは慣性力を予測する。しかしそこでの慣性力は視覚的 にアリ、前庭感覚的にナシという不整合を伴い、VR酔いを引き起こす。HMD利用VR中の自然な慣性力提示にはどの様な機構が必要か?本研究では、張力制御機構を開発し、有限の身体上作用点で慣性力を再現可能か検証する。 これまでに張力提示系として十分な強度をもつフレームの設計とモータの選定を行った。現在、発注段階に至っており、実際に構築する予定である。一方で、VR視聴中の張力提示の心理学的・運動的影響を調査する目的で、スノーボードを題材とした実験を行った。実験に用いる刺激の準備として、実際にスキー場で走行中のスノーボーダー(実験者)視点映像を360度カメラで記録し、板上で加速度を記録した。実験の際、張力は実験者による手動で提示した。映像に時間的に合った張力を提示するため、事前に記録した加速度情報を閾値処理してタイミングデータを作成した。実験の結果、張力提示の有無はVR酔いに大きな影響は及さなかったが、臨場感を向上させ、主観的体験時間を短く感じさせることがわかった。また張力提示の方向を加速度方向と慣性力方向で比較した場合、ふらつき度合いに違いがあり、臨場感や主観的時間も異なる傾向があった。映像中の運動に対してどちらの方向で力を加えるかによって、VR体験に違いが生じる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハードウェア的側面でのシステム構築に目処がついた。また、並行して人力での張力提示実験も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
システム構築のハードウェア的側面に関しては目処がたっており、構築後はソフトウェア的側面を推進する。現在までに張力を被験者に合わせて維持するフィードバック機構を検討中である。また人力での張力提示実験に関して、新たな題材として自動車を検討しており、実験で用いる映像刺激や加速度情報の記録を進めている。
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Causes of Carryover |
フレーム強度設計とモーター選定を十分に行いまとめて購入する必要があったため、次年度使用額が生じた。翌年度分と合わせてシステム構築を行う。
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Research Products
(3 results)