2022 Fiscal Year Research-status Report
心地よい音楽聴取環境:潜在記憶及び視聴覚相互作用の感性情報処理と計算モデルの提案
Project/Area Number |
22K12226
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
後藤 靖宏 北星学園大学, 文学部, 教授 (30326532)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 音楽認知 / 感性情報処理 / “心地良さ” / 潜在記憶 / 視聴覚相互作用 / 計算モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
音や音楽といった聴覚情報が人間の情動に影響を与えていることは経験的に知られている。しかし、人間の情報処理は視覚優位であるため、我々が感得するそうした感覚は、聴覚と視覚の相互作用によって達成されていると考えるべきである。本研究では“心地よさ”という研究上の基本軸を設定し、「潜在記憶」、「視聴覚の相互作用」、および「計算モデルの構築」という異なる3側面から音楽聴取に対する包括的なアプローチを行う。これにより、音楽認知の基本的な知覚処理過程を土台にした“心地よさ”の感性情報処理過程を明らかにできる。 2022年度は、音楽のリズム的側面を中心として、潜在記憶と情動喚起過程の関係に関する基礎的なデータ採取を目的とした実験研究のための知見獲得を行った。「現在までの進捗状況」に示した理由により、当初予定していた研究活動が難しかったために、予定を一部変更することになった。 具体的には、音楽を構成する物理的要素である「音価」、「音高」および「音色」と、「拍節性」という心理的特性との関係性について、音楽情報の潜在記憶要素という観点からloudness judgement task(Goto, 2001) によって明らかにした。 その一方で、当初予定では、この活動と並行して、それらの要素を変化させた音楽を用いることで、音楽による情動喚起過程を音楽聴取過程と関連づけて調査することになっていたが実現しなかった。この点については、「今後の研究の推進方策」で示すように、2023年度前半に研究エフォートを増やし研究環境を整備することで取り戻すことが出来ると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基本的には、予定した方向で研究は進めている。その一方で、2022年度はちょうど学内の研修期間と重なっており、別組織にて研究活動を行うことになっていたため、研究機材の購入も含めて次年度持ち越しになった活動もあった。この学内研修は科学研究費採択前に決定していたものであり、補助事業期間の変更を問い合わせたものの不可ということが分かり、研究計画を一部変更して対応することとした。研修以外に、自身の体調不良による入院や身内の不幸も重なってしまい、結果として「やや遅れている」進捗状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度前半に2022年度積み残し分の活動を行い、後半にかけて当初予定していた内容の研究活動を計画している。 具体的には、前半に音楽情動喚起に関する予備調査に着手する。調査対象者に楽曲を聴取させながら、言語的指標による調査と心拍、呼吸数、皮膚温及びG.S.Rを経時的に測定することを計画している。 後半には、眼球運動測定装置本体を購入し実験環境を整える。音楽聴取空間を仮設営して、前年度に購入予定の眼球運動測定装置を用いて、聴き手の注意配分の機能を探索的に調査する予定である。計画通りに進めば、2022年度の遅れを取り戻すことが可能である。
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Causes of Carryover |
【現在までの進捗状況】で記したように、2022年度はいくつかのイレギュラーな事案が重なり、研究計画にずれが生じた。もっとも影響が大きかったのは学内の研修期間と重なったことであった。科学研究費採択前に決定していた研修であったために変更することができず、やむを得ず研究計画を一部先送りにせざるを得なかった。あわせて自身の体調不良による入院、および身内の不幸が重なったことも研究計画を変更した理由の1つであった。 こうした事情のために、当初計画していた機器の購入や学会参加旅費を支出しなかった。予定していた支出分を今年度に持ち越し、2023年度以降に支出する計画である。現在のところ、購入予定機器に変更はなく、今年度前半に音楽情動喚起に関する研究で使用する機器を、後半には眼球運動を測定する実験を行うために必要な機材を、それぞれ購入する予定をたてている。 なお、上記の変更に伴い、今後の研究計画を一部見直す必要が出てくる可能性もある。その場合は、研究の過程において計画の無駄を極力省き、内容を精査することで、最終目標を達成することができるように計画を修正する。それにともなって購入する機材の変更も検討しておく必要があると思われる。
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Research Products
(2 results)