2022 Fiscal Year Research-status Report
人工遺伝子回路を使って代謝ネットワークを制御するための基盤計算技術の開発
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22K12247
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 和勲 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (50631230)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 合成生物学 / 遺伝子回路 / 大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人工遺伝子回路を活用して代謝ネットワークを時間的・定量的に制御することを目指している。人工遺伝子回路の効果を検証するため、医薬品の重要な前駆体であるシキミ酸生産に取り組む。シキミ酸生産は従来の代謝工学的手法でかなり効率化されている。人工遺伝子回路を使う新しい方法で、それを越える生産効率が達成できれば面白いと考えている。
遺伝子回路設計において、計算機を用いて遺伝子回路の作成・検証・改良サイクルを迅速に回すことが重要であり、これまで検証の過程が時間を要していた。そこで我々は、遺伝子回路自動設計システムを改良し、設計された遺伝子回路の挙動やネットワーク構造、対応するDNA配列を瞬時に可視化することが可能になった。具体的には、SBML(Systems Biology Markup Language)やSBOL(Synthetic Biology Open Language)といった標準データ形式で設計した遺伝子回路やDNA配列を出力できる機能を追加した。
また、作成された遺伝子回路の挙動やそのDNAを迅速に可視化するためのWebアプリケーションを開発した。このWebアプリケーションは遺伝子回路自動設計システムとは独立したものであり、将来的には一般に公開する予定である。このWebアプリケーションによって、システム生物学や合成生物学に関連する10種以上のファイルフォーマットのデータを可視化することが可能になった。このアプリケーションの活用により、遺伝子回路の設計プロセスがより効率的かつ迅速に行えるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、設計した遺伝子回路のin silico検証を迅速化することを目指していたが、その目標は達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
我々はこれまでに、大腸菌のエネルギー代謝と窒素代謝のシミュレーションモデルを開発している。これには、シキミ産合成経路が含まれていないので、これを追加する。モデルが大規模になることが予想されるので、モデルの簡略化を試みる。具体的には、感度解析を行って、増殖速度とグルコース取り込み速度に大きな影響を与える酵素をピックアップする。重要な酵素のみを遺伝子回路によって制御することで、代謝ネットワーク制御問題の複雑性を減らす。
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Research Products
(3 results)