2023 Fiscal Year Research-status Report
Predicting the Toxicity of Chemicals on vertebrates using network biology and machine learning
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22K12265
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
飯田 緑 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (50882396)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 複合曝露影響 / ネットワーク生物学 / 種差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の期間全体での目標は、① 単体の化学物質が生体へ与える影響を予測する手法の開発、② 複数の化学物質が生体へ与える影響を予測する手法の開発、③ 他種への拡張という3つである。本年度は②を実施した。 前年度の研究結果から、魚類(メダカ)・哺乳類(ヒト)ではインタラクトームデータを用いた予測手法が、単体の化学物質の影響予測に有用であることが示されていた。このことから、本年度はヒトのインタラクトームデータを用いて、化学物質の複合影響の結果である疾患を予測する手法の開発を行った。本手法では、ネットワーク伝播と呼ばれる半教師あり学習のアルゴリズムを用いて、複数の化学物質の物質名を入力とし、これらの化学物質に関連が強い疾患を予測する。例として、PCBs(PCB66, 110, 128, 138, 153)を入力とした予測では、ニキビが最も関連性のある疾患として予測された。これまでの研究から、PCBsの曝露によってヒトでは塩素ざ瘡が引き起こされることが明らかとなっている。このことから、本研究で開発された手法は、既知の影響を上位に予測できることが明らかとなった。 一方で、関連性が既知の疾患に予測が偏ってしまうという課題が挙げられた。これは、学習データである化学物質―疾患の関係性のデータが少ないために起こっていると考えられた。このため、化学物質―疾患の関係性のデータをデータベース検索・文献検索によって増やした。 本研究の成果は、毒性評価国際シンポジウム(International Symposium on Toxicity Assessment (ISTA))や環境化学物質合同大会で発表とともに、国際誌への投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複合曝露影響予測をするための手法を構築し、予測を行った。また、予測の結果について文献調査により検証を行った。さらに、3年目で使用するヒト・メダカ・サケのインタラクトームを用意できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の期間全体での目標は、① 単体の化学物質が生体へ与える影響を予測する手法の開発、② 複数の化学物質が生体へ与える影響を予測する手法の開発、③ 他種への拡張という3つである。最終年度は主に③を実施する。 これまでの研究結果から、複合曝露影響を予測する手法を構築した。最終年度である本年は、手法のブラシュアップと、他種への応用を目指す。 手法のブラシュアップでは、学習データの種類と量を増やし、予測精度の向上を目指す。これまで、学習データとしては、化学物質―疾患の関係性とインタラクトームの情報を用いてきた。本年度は、これに化学物質―遺伝子の関係性も用いることで、化学物質の影響に関する多様な情報を学習する。また、化学物質―疾患の関係性のデータに新たに検索したデータを加え、より多くの化学物質―疾患の関係性を予測できるようにする。 他種への応用の点では、魚類(メダカ・サケ)のインタラクトームデータを用いて、ヒトと同様に複合曝露影響を予測する。予測した結果を、文献検索によって検証する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、本年参加する予定だった国際学会の参加を見送ったためである。翌年度分として請求した助成金と合わせて、本年度は、2回の国際学会に参加する。また、本年は、研究計画③他種への応用を実行するために必要なパソコンの購入と、データベースの契約を予定している。
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