2022 Fiscal Year Research-status Report
抗体デザインのための協同的に働く多アミノ酸変異による親和性・物性の多目的最適化
Project/Area Number |
22K12269
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
千葉 峻太朗 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (50708469)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抗体 / 多目的最適化 / 協同的変異体 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体医薬品開発では、初期に得られた抗体分子の特性値を、アミノ酸変異を導入することで改善する。抗体製剤は高い安定性、高濃度化に耐えうる低い凝集性など多数の特性が求められる。これらの条件を抗体の抗原(医薬品としての標的分子)に対する結合親和性を保持(または向上などの調整)させながら満たすという、多目的最適化を変異導入によって実施する必要がある。本研究では、従来法ではみつけることが難しかった、多アミノ酸変異を同時に導入したときに初めて親和性・物性値が向上する(または調整できる)変異体(協同的変異体)を探索する手法開発を目指している。複数のアミノ酸を同時に変異させて特性値への効果を調べるためには、組合せ数が膨大となり、実験での検証が難しくなる。このため、本研究では分子の構造情報に基づいたコンピュータを利用した協同的変異体の探索方法を開発している。 本研究ではいくつかのステップに分割して研究を進めている。研究の初年度である本年度は第1ステップである「側鎖構造モデリング手法開発および相互作用の説明性の定量化」に関するプログラムを完成させた。これによって、多数の協同的変異体を自動的に生成できるようになった。さらに抗原-変異対象アミノ酸、変異対象アミノ酸同士、変異対象アミノ酸と抗体部分の相互作用において、多様な相互作用がその構造の安定化または不安化にどのように寄与しているかを定量的に予測できるようになった。このプログラムは論文とともに公開される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である本年度は研究計画通り、第1ステップである「側鎖構造モデリング手法開発および相互作用の説明性の定量化」に関するプログラムを完成させた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、第2ステップ「変異導入に伴う親和性・物性変化予測」、第3ステップ「多目的最適化」に取り組む。利用するデータや多目的最適化プログラムは、研究計画作成時から進歩がみられるため、積極的に適した情報や手法を取り入れて研究を推進する方針である。また、第1ステップでいったん完成したプログラムについても改良を続ける。
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Causes of Carryover |
初年度計画していた国際学会での情報収集および発表について、実施を延期したため次年度使用額が生じた。
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