2022 Fiscal Year Research-status Report
Realization of Survivors Registration System by Human-in-the-Loop
Project/Area Number |
22K12272
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
井ノ口 宗成 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 准教授 (90509944)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 生活再建支援 / 被災者登録 / 事前対策 / ウェブアプリ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度では、新潟県防災局ならびに県内市町村の防災担当者とともに、災害発生前における被災者の基本属性情報の登録から、それを活用した事前対策の検討、災害発生後における避難生活から生活再建に至るまでの、継続的な情報活用の可能性について検討を重ねた。その結果として、既往研究で構築した被災者台帳システムにおいて管理される情報項目を再整理するとともに、新潟県をフィールドとして被災者登録システムの基本枠組みの整理を推進した。また、被災者の基本属性情報を登録した後に、様々な局面において情報を更新・確定するプロセスを組み入れ、1つのウェブアプリを設計・開発した。このウェブアプリでは、各プロセスで利用する氏名、家族構成、居住場所を最初に登録する基本情報とした。居住場所を管理することは、位置情報に基づく情報の抽出・提示を可能とするためである。事前対策としてはリスク情報や収集すべき防災情報の選定時におけるフィルターとして利用し、災害発生後の避難生活では在宅避難等における居場所登録、生活再建においては再建場所の初期条件として活用できる。 さらに、既往研究で構築した被災者台帳システムでは、対面式の罹災証明書交付によって世帯情報や居住場所の実態把握を行い、行政が日常業務で管理する基本情報(住民基本台帳や固定資産税台帳で管理される情報)とは別として取り扱っている。一方で、実態情報の把握は被災者からの聞き取りによって実施される。この実態を踏まえ、本研究で開発したアプリでは、本人申告制とし、直接的に申告内容を問うのではなく、事前の行動計画策定において、災害発生と切り離すことで、より信頼性の高い実態情報を把握できると考え、事前行動計画には直接必要のない「付属家」を尋ね、「主たる居宅」と分離することとした。このような仕掛けを組み入れ、生活再建支援までを視野に入れた基本情報取得のための仕組みを仮実装した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、研究計画で予定していた業務分析ならびにデータマネジメントに関する要件分析を実施し、生活再建支援を視野に入れた被災者登録に必要な情報項目の整備ならびに被災者の対応プロセスにおける情報の確定化をモデル化した。特に、新潟県をフィールドとして、体制整備ならびに県内市町村とのワーキングを実施し、意見収集および業務モデルの妥当性検証を推進した。あわせて、他自治体の例として首都直下地震での被災が想定される川口市を対象として、地域防災計画に記載のある様々な災害対応業務に対し、ヒアリングを通して行政職員が実施する対応過程の構造化を実施し、自治体間における共通性や特異性について把握するための基礎データ収集を推進した。 情報の処理プロセスを構造化することにより、1つのプロトタイプ版アプリとして、想定被災者となる住民が基本属性情報を登録し、アプリ上で災害への備えや支援の受給を進める中で、情報の拡充および確定化を進める実装例を示した。これをウェブアプリとして仮実装し、動作検証を終えた。 これらのように、本申請時の計画に則り、おおむね予定通りに研究が推進されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に開発したプロトタイプ版のアプリは、自治体職員を対象とした動作検証にとどまっている。これに対し、一般的な住民の評価を得るために、防災訓練での実装を検討する。また、自治体による対応に差があることを前提として、他自治体へのヒアリングや過去災害の被災地に対するヒアリング調査を継続的に実施し、被災者登録システムに対する要件の精緻化を推進する。
|