2022 Fiscal Year Research-status Report
プログラム挙動可視化ツール活用型オンライン演習のためのモデル授業・電子教材集開発
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22K12290
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
伊東 幸宏 静岡大学, 情報学部, 名誉教授 (20193526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 達裕 静岡大学, 情報学部, 教授 (30234800)
山下 浩一 常葉大学, 経営学部, 准教授 (30340110)
小暮 悟 静岡大学, 情報学部, 准教授 (40359758)
野口 靖浩 静岡大学, 情報学部, 准教授 (50536919)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プログラム挙動可視化 / プログラミング演習支援システム / オンライン演習支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はプログラム挙動可視化ツールTEDViTをオンライン演習支援に活用するために以下のシステム設計を進めた。 (a)オンライン演習における教師への質問や学習者間の議論を、TEDViT上のプログラム挙動再現画面上で行うための機能拡張:プログラミング演習の質疑応答では学生プログラムのソースコードとその実行過程について学習者と教師が共通認識を持つことが前提となる。前者についてはソースコードファイルを共有すれば簡単だが、実行過程は時系列上の変化を含むため、説明が複雑にならざるを得ない。学習者・教師の双方がTEDViT上でプログラムの挙動を再現してこれを共有し、挙動に吹き出しの形で直接疑問点や解説を記入することにすることにより、実行過程に関する対話を円滑に行うことができる。そのために、既存TEDViTの挙動再現アニメーション中の任意の時点と場所に質問や解説のメッセージを埋め込めるシステムを設計した。 (b)オンライン協調学習におけるLearning by Teaching を取り入れたTEDViT活用演習の実現のための機能拡張:オンライン演習では生じにくい学習者相互の教えあいを促進する以下のような授業を支援するツールを設計した。 1)教師は学習対象アルゴリズムとソースコード例、そのソースコードのためのTEDViTの視覚化ルールを学習者に与える。但しこのルールには、重要なオブジェクトの強調や理解を助けるメッセージなどは一切設定されておらず、このままでは少々わかりにくい。 2)教師は学習者数名のグループを設定する。各学習者は教師から与えられた視覚化ルールを編集し、オブジェクトの色変化や説明メッセージなどを組み込んだ、よりわかりやすい教材に改善する。 3)グループ内で互いが作成した教材を使って相互に説明しあい、学習者相互で説明のわかりやすさを評価して改善方法を議論する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたシステムの設計については上記「研究実績の概要」に示した通り進捗しており、またプログラム挙動視覚化ツールTEDViTやその周辺のプログラミング教育支援システムに関する研究成果を内外の学会誌や学会などで発表している(以下、「雑誌論文」および「学会発表」の項を参照のこと)。以上、これまでの研究自体は順調に進展しているが、社会的背景として、研究の構想時点においては新型コロナウィルスの流行が今後も継続するか、もしくは流行が沈静化したとしても大学における対面授業はかなり減少することを想定していた。しかしながら令和4年度末の時点において、新型コロナウィルスの五類移行が予定されるなど流行状況はかなり緩和されており、研究代表者の所属する大学においても令和5年度からはほとんどの授業が対面実施となることが予定されている。この状況において、本研究で支援するオンライン型プログラミング演習の社会的重要性が低下すること、また教育実践の場において開発したシステムや教材を活用して評価することが難しくなると予想されること、といった懸念点もある。現時点では進捗状況に減点するには至らないが、今後対策が必要であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画においては、令和5年度および令和6年度において、開発した各機能を持つシステムの教育実践への導入:研究分担者の担当授業を中心に、実授業のオンライン演習にこれを導入するとともに、実践した授業に関して1年単位でPDCAサイクルを実行し、その過程で必要に応じてシステムの機能拡張を行うことを想定していた。しかしながら「現在までの進捗状況」の「理由」の欄でも述べたように、令和4年度末の時点において、新型コロナウィルスの五類移行が予定されるなど流行状況はかなり緩和されており、研究代表者の所属する大学においても令和5年度からはほとんどの授業が対面実施となることが予定されているなど、当初の予定よりも早くオンライン型プログラミング演習が対面型演習に移行する見込みとなっている。このことから、冒頭に述べた計画通りに開発したシステムを実授業に導入して実践的に評価するためには何らかの工夫が必要となる見込みである。 工夫の例としては、大学間連携授業や社会人教育などもともと遠隔で実施される授業に対象を移すこと、オンライン授業を前提とした他教育機関(たとえばサイバー大学など)と連携して研究を行うこと、正課の授業外にセミナー形式の講座を開講してこれをオンラインで実施すること、などが考えられる。今後具体的な方法を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの社会状況からオンラインで対応することができたため、旅費等の支出が不要なケースがあったため。今年度支出しなかった分については、オンラインで対応が難しかった点に関して次年度の対面実施の際に補完するための支出に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)