2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on Health Education Platform Design for Improving Health Literacy among Young People
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22K12302
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
飯塚 重善 神奈川大学, 経営学部, 准教授 (40551073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 篤志 神奈川大学, 経営学部, 助教 (00618522)
嶋谷 誠司 神奈川大学, 経営学部, 名誉教授 (10409980)
石濱 慎司 神奈川大学, 経営学部, 准教授 (20772594)
韓 一栄 神奈川大学, 経営学部, 准教授 (40468799)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヘルスリテラシー / 健康情報 / スマートウォッチ / 健康経営 / テクノスポーツ / AR / グループダイナミックス / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者および分担者が所属する大学において,昨年度に引き続き、『健康経営論』にて,健康情報(ライフデータ)から考える視点を身につけることを目的として,受講生一人ひとりにスマートウォッチを貸与し,一定期間(授業期間中の約3カ月間),各自のデータを測定,可視化するアプリーチを試みた.今年度は,“他者との協働による歩行行動の活性化”を目的として,グループダイナミクス導入することとした.学生たちを複数人でのグループに分け,専用のWebアプリを通じて,自身の歩数だけでなく,自グループおよび他グループの歩数合計値も確認できるようにした.さらに,グループ間での歩数競争を促進するため,歩数確認アプリには,生成AIによる,その時点のグループ順位に応じたエンカレッジメントメッセージをユーザーに表示する機能を追加した.その結果,グループダイナミックスや他グループとの競争が必ずしも全てのユーザーにとって同じように動機付けになるわけではないと考えられる状況となった.また,今回の試みでは,ランダムにグループ化したため,グループ内メンバー間のコミュニケーションが不足していたようで,グループダイナミックスを活かしきれていなかったといえる.そして,Webアプリを頻繁に使用することが歩数の増加に直接的な影響を与えなかったことは,単に技術を提供するだけでは行動変化を促すには不十分であることを示唆しており,より個人化されたフィードバックや,具体的な健康目標の設定など,他の要因が行動変化に重要な役割を果たす可能性があると考えられる. ARスポーツ「HADO」に関しては,HADOが“スポーツ”であることを客観的に表現する必要性があると考え,運動量定量化に向けて,プレーヤーの心拍数を身体活動強度指標「METs」に換算する試みと,プレイヤーの動きを3次元的に捉える(動きの定量化)試みに着手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スマートウォッチを導入した一連のカリキュラムについては,昨年度構築・導入できた体制を継続し,さらに,グループダイナミックスや人工知能連動といった新たなアプローチを取り入れることができ,若年層の健康行動促進に向けた知見が得られてきている. また,ARスポーツ「HADO」の活用についても,運用体制が確立できたことで,体験イベント等の効果測定に向けた環境が整ってきていること,また,プレイヤーの動作を定量的に獲得する試みにも着手でき,その有効活用に向けた取り組みに進むことが出来るフェーズに入ったと考えている. 以上のことから,おおむね順調な進捗だといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
スマートウォッチを用いた取り組みについては,技術的な要素だけでなく,2年間の取り組みの運営方法も含めアプローチの内容そのものを継続して検討していく必要がある.例えば,行動経済学の一部で,人々の選択や行動を微細に誘導するための方法論として認識されている『ナッジ』,多理論統合モデル(Transtheortical Model:TTM)が挙げられる.これら既往の知見や方法論を採り入れることで,若年層のヘルスリテラシー向上に結びつけていく必要がある. そしてARスポーツ「HADO」に関する次の取り組みとしては,2年目に試みた「METs換算」は,あくまで推定値であり,その精度はに限界があるともいえる.そこで,プレイ中の,プレイヤーの3次元的な動きを測定し,そのデータを心拍数と組み合わせることで,活動量を一定の精度で数値化(METsに換算)できる可能性があると考えている.例えば,プレイ映像からプレイヤーの位置を捕捉(プレイヤーの移動距離を算出)する方法と,プレイヤーにIoTデバイス(加速度センサ)を装着し,ジャンプの高さや頻度,しゃがむ動作などをセンシングすること等を検討していく必要がある.
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Causes of Carryover |
計画当初に予定していた人件費等の費用を使用することなく「HADO」の導入体制を構築できたことで,執行しない費用(差額)が生じたが,今後,効果測定等のための計測機会が増え,その費用が必要になること,また,引き続き,学会発表等に活用し,より広く意見集約や知見を収集することに活用していく.
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