2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of assistive teaching materials for disabled children, with which an online video content distributed by a zoo or an aquarium becomes barrier-free
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22K12306
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| Research Institution | Okayama College |
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Principal Investigator |
山口 雪子 岡山短期大学, その他部局等, 准教授 (90331818)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 朱実 社会構想大学院大学, 先端教育研究所, 特任教授 (40836566)
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| Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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| Keywords | オンラインコンテンツのバリアフリー化 / 視覚障害支援教材 / 岡山県自然保護センター（岡山生きもの学校） / 動物園・水族館 / SDGｓ（目標4，14，15） / アクティブラーニング / 共生社会・インクルージョン |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題はSDGｓの基本理念「誰1人取り残さない」を具現化するため，特に17目標のうちの4「全ての人に質の良い教育を」に焦点を当てたバリアフリー環境学習支援教材を開発する。具体的には，動物園や水族館が配信している動画を含んだオンラインコンテンツについて，画像情報の要点を視覚障害児が認識できるようにする学習支援教材を試作する。
初年度となる２０２３年度は学習支援教材の試作を行うにあたり、オンラインコンテンツとして、岡山県自然保護センターがYouTube配信している岡山生きもの学校の中から、タンチョウヅルの子育て記録動画『タンチョウの成長記録』（全９話）を選定し、同センターよりコンテンツ利用の許可を得た。
まず、オンラインコンテンツを立体イメージ印刷するにあたり、画面から対象とする動物の抽出・切り出しの必要性有無を検討した。抽出・切り出しの前処理に利用するアプリケーションソフト（アプリ）としては、一般的と思われる、ペイント・ワード（パワーポイント）・remove.bgの３つを用いた。検討結果は、日本学術振興会 令和4年度科学研究費補助金等による研究集会「情報アクセシビリティをめぐる諸問題に関する研究集会」にて報告している。
オンラインコンテンツの場面を立体イメージ印刷するにあたり、対象となる動物の抽出・切り出しといった前処理が必要であったことが認められ、アプリとしては、ワード（パワーポイント）およびremove.bgが有効であった。上記研究集会では視覚障害を有する研究者から、凹凸により動物の様子が触察できる有効性を期待するコメントや、さらには動物の背景（環境）を知る工夫も欲しいとの希望をいただき、教材の必要性や教育的効果が実感できた。
現在、立体イメージ印刷前処理に適したアプリについて、有効性とともに操作易しさ等といった利便性も考慮しながら、さらなる検討を進めている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の根幹である動物園・水族館が配信する動画等のオンラインコンテンツをバリアフリーかする視覚支援教材を試作するにあたり、数多く配信されているオンラインコンテンツから、試作に適したものを選定するのに時間を要した。また、YouTube岡山生きもの学校から『タンチョウの成長記録』（全9話）から支援教材を試作すると決定した後の手続きとして、著作権を有する岡山県自然保護センターへの利用許可申請に関する相談等、利用許可いただくまでにも少なからず時間がかかった。
支援教材の基となるオンラインコンテンツ利用開始が想定より後ろにずれたため、教材作成に用いる立体イメージプリンタ印刷作業に前処理が必要かどうかの検討も遅れることとなった。動画1場面をそのまま立体イメージ印刷と、画面の中の動物が触察で判別しにくく前処理が必要なことが明らかとなった。前処理として対象となる動物の抽出・切り出しが必要とわかったものの、作業に適したアプリケーションソフト（アプリ）の比較検討は中途段階にあり、支援教材作成工程が未だ決定できていない現状にある。
しかしながら、手始めとして比較的一般に普及していると思われるアプリを用いて作成した試作教材の検討結果を、日本学術振興会 令和4年度科学研究費補助金等による研究集会「情報アクセシビリティをめぐる諸問題に関する研究集会」にて発表したところ、支援教材としての効果や期待を寄せるコメントをいただき、本研究課題に対する一定の研究成果を得ることができたと判断している。
以上の状況から、進捗状況としては「3．やや遅れている」との判断・選択に至った。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、オンラインコンテンツから支援教材を作成する工程を確立する。具体的には、立体イメージプリント印刷前処理に適したアプリケーションソフト（アプリ）の選定を早急に進め、オンラインコンテンツ（動画）1場面について対象とする動物を触察できるようにする。1場面の立体イメージプリントができるようになったところで、オンラインコンテンツ1作品に対応する支援教材1作品を完成させる。支援教材は動画1場面を触察できるようにした頁で構成するだけでなく、表紙と裏表紙等を活用して、見えないコード（スクリーンコード）を使い、オンラインコンテンツとの連動性を高める。作成した支援教材は、動物の動きを認識するのに有効かどうか・オンラインコンテンツとの併用が容易かどうか等を確かめ、支援教材としての完成度を上げていく。さらに、研究分担者の松本に支援教材の対象となる動物園・水族館のオンラインコンテンツを選定、さまざまな動物に活用できる支援教材の完成を目指す。
現状の課題としては、支援教材の完成と作業工程の確立は達成できると考えるものの、視覚障害児と晴眼児がともにオンラインコンテンツを視聴しながら、学び合うインクルーシブ教育に有効かどうかの検討について、具体的計画ができていないことである。また視覚障害児が動物全体像を把握するには３Dプリンタ等を用いた立体教材が必要と考えられ、オンラインコンテンツに登場する動物の立体教材をどのように準備するかも課題である。これらの課題に対しては、視覚障害者向けに３Dプリンタによる模型作成をしている研究者等との連携を深め、支援教材の充実と利用に対する効果調査を行いたいと計画している。また動物園・水族館等、支援教材を必要とする現場で手軽に教材作成できるよう作成過程の公開も必要と考えており、これらの課題に取り組むための予算獲得にも努めていく。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた大きな理由は予定していたパソコン購入および周辺機器等の購入が遅れたことである。支援教材を試作するにあたり、使用するオンラインコンテンツの選定と著作権に絡む使用許可等の手続きに時間を要し、動画1場面の立体イメージプリンタ作業工程の検討を始めるのが後ろにずれ込んだ。その結果、支援教材作成過程に必要なアプリケーションソフト（アプリ）の購入やアプリ操作に適したパソコン、さらには見えないコード（スクリーンコード）印刷用のインクジェットプリンタ購入が未完了となっている。さらに支援教材試作の遅れにより、研究分担者との相互の検討会や、オンラインコンテンツ選定・使用のための動物園・水族館訪問もできなかったため、交通費等も積極的に使うことができず積み残した状態となっている。
現在、上記、支援教材作成に必要なパソコン・アプリ・周辺機器の購入手続きを進めており、積み残された額は既に使用目処が立っている。また、支援教材試作遅延に伴い、昨年度は見送りとしたスクリーンコードについても、今年度から年間使用料が発生する。支援教材試作ができた後は、教材評価や、さらなる教材作成を目指して、研究分担者とともに動物園・水族館を訪問する。さらには学会や研究集会等を通して積極的に成果発表も行っていく予定であり、積み残し分も含め、計画通りの研究費使用を見込んでいる。
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