2022 Fiscal Year Research-status Report
学習・メンタリング履歴収集基盤を用いた学習支援ツールの構築・評価
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22K12318
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
妻鳥 貴彦 高知工科大学, 情報学群, 准教授 (60320123)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Learning Analytics / LMS / LRS / 自己調整学習 / Computational Thinking |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,メンタリング履歴を導入した学習履歴収集基盤を構築し,その構築した基盤により収集された学習・メンタリング履歴を学習支援に活用するツールを構築し,その有用性を評価することで教育の改善や学習支援を実現するものである. 令和4年度は,学習履歴収集基盤により収集された学習・メンタリング履歴を学習支援に活用するツールの開発にあたって,自己調整学習(Self-Regulated Learning)に着目した.自己調整学習とは,動機づけ・学習方略・メタ認知の3つのサイクルから自らの学習過程に能動的に関与して進められる学習であり,本研究で着目しているバックトラックリーディングもこの学習の一環であると考えられるからである.このような学習を支援するために学習者の学習履歴に加え,学習者の学習の進捗や理解状況を学習者自身が振り返ることができ,またメンタからの評価やメンタリング内容・履歴も合わせて確認できるシステム(SELFY: SElf-regulated Learning FacilitY)を構築した.これにより,学習者の内省を促すことでバックトラックリーディングを誘発し,自己効力感を維持・高めることが期待でき,自己調整学習の促進を図ることが期待できる. また,収集した学習履歴から学習内容の関連性や難易度に応じた効果的な学習支援・ナビゲーションを実現するために,Computational Thinking(CT)に基づいた学習内容の構造化を行い,CTオントロジーを構築してプログラミング教育の支援を行うシステムの研究を行い,これに関しては国際会議(オンライン)で発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度に構築した学習者の学習履歴に加え,学習者の学習の進捗や理解状況を学習者自身が振り返ることができ,またメンタからの評価やメンタリング内容・履歴も合わせて確認できるシステム(SELFY: SElf-regulated Learning FacilitY)を用いて,令和5年度は実際の授業で利用して評価を行える段階まで進んでおり,おおむね順調であると言える.しかしながら,当初購入を検討していたサーバについては,COVID-19の影響もあって順調な入手が困難であったことに加え,成果が挙がったので海外での発表に切り替えて予算を消化することにしたが,渡航の可否が直前まで不明で結局オンラインでの発表にならざるを得なかったこと,構築したシステムの動作確認が急務になったことで当初の計画を変更しての予算消化になってしまった点が想定外であった.それ以外については,当初の計画に沿って進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は,令和4年度に構築したシステムの実際の授業での利用を踏まえて,学習支援につながったかどうか,具体的にはバックトラックリーディングのような学習効果が期待できる学習行動につながったかどうかを評価して,その有効性を検証していく.これと並行して,自己調整学習の観点からバックトラックリーディングの持つ意義を明らかにしていくことを模索していきたい.また,自己調整学習の持つ様々な要因と実際の学習履歴との関連性を分析することで,学習効果のある学習行動を抽出して,学習支援につなげていきたい. また,学習内容に依存しない学習履歴の分析にとどまらず,学習履歴と学習内容の関連性や難易度に応じた効果的な学習支援・ナビゲーションの実現も併せて目指していきたい.
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Causes of Carryover |
当初購入を検討していたサーバについては,COVID-19の影響もあって順調な入手が困難であったことに加え,研究成果が挙がったので海外での発表に切り替えて予算を消化することにしたが,渡航の可否が直前まで不明で結局オンラインでの発表にならざるを得なかったこと,構築したシステムの動作確認が急務になったことで当初の計画を変更しての予算消化になってしまった.
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