2022 Fiscal Year Research-status Report
他者立論の論理的再構成を通した批判的思考力育成に関する研究
Project/Area Number |
22K12328
|
Research Institution | Hiroshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
藤原 宗幸 広島商船高等専門学校, その他部局等, 講師 (00881004)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平嶋 宗 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10238355)
木下 博義 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (20556469)
林 雄介 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (70362019)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 三角ロジック / 論理的思考 / 批判的思考 / 学習支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
論理的思考の重要性は古くから指摘されているが,特に近年,21世紀型能力の中の「思考力」の基本要素であるとされ,あるいは学習指導要領における「深い学び」の表れの1つと指摘されるなど,その重要性の認識が広まってきている. この論理的思考力の育成を志向して,論理構造の組み立て演習をインタラクティブに行うことができる演習システムを,三角ロジックモデルをベースに設計・開発をしている.三角ロジックモデルとは,論理構造の可視化表現の1つとしてあげられるToulminモデルがあるが,これを「主張」「根拠」「理由付け」の三要素に限定することで計算可能としたモデルである.この三角ロジックを論理の情報構造として捉え,モーダスポネンスもしくは三段論法に還元される演繹推論に限定したうえでオープン情報構造アプローチを適用した三角ロジック組立演習がシステム化して実現されており,実験的使用を通して論理的思考力の育成に寄与することを示唆する結果が得られている 本研究では,三角ロジックを構成する先行研究で行った被験者群とは別に,高等専門学校に属する学生を対象に論理的思考力にどのように影響があったか確認をした. システムで身につけた他者立論の論理的再構成の観点がテストの点数より学習効果を継続的に維持できることが示された. 今後の課題としては,(1)命題の作り方,(2)評価方法,を調査することで本演習を実践的に利用可能なものとするうえで必要であると考えている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,三角ロジック演習が高等専門学校でも有効だと示し,三角ロジック演習の継続的効果を確認することができた. 批判的思考力育成を目指すにあたり,基礎データを取得することができた. システムで身につけた他者立論の論理的再構成の観点がテストの点数より学習効果を継続的に維持できることが示された.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究段階として,三角ロジック演習の学習効果を比較実験により検証する必要がある.比較対象は,論理的思考力の測定にしばしば用いられるSPI非言語分野テストの対策問題を用いた演習とする.この結果により,演繹的三角ロジックを用いた授業を設計・開発することの妥当性と必要性が示せると考える. また批判的思考力を継続的に行うことで受講者の基礎的な比較を行い,学習者の再構成活動のデータを分析し,再構成活動としての傾向を抽出するとともに,活動のパターンと批判的思考力に関するスコアとの関係を分析する.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がまだおさまってなく,自由に行き来することができなかった.また,半導体不足も含め必要な機器が買えなかったため,次年度使用額が発生した.
|
Research Products
(1 results)