2023 Fiscal Year Research-status Report
少ない例示から豊かな反応を生み出す、感覚運動協応を再現した自律キャラクタ表現手法
Project/Area Number |
22K12332
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
三武 裕玄 明治大学, 総合数理学部, 専任准教授 (30613939)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 確率的記憶モデル / マイクロスリップ / 動作生成 / ビヘイビアツリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、確率的記憶モデルとビヘイビアツリーを用いて、行動中に状況に応じて起きうる小さな失敗とそれを修正しようとする動作を自動生成する手法の研究を前年度に引き続き行い、システムの構築と検証を行った。 人の感覚や記憶には不確実さがあるが、人は行動の際に確実でなくとも試しに行動してみてわずかな失敗を引き起こし、失敗を検知してはじめてより精密な観測行動に出たうえで再度修正動作を行うようなことが多い。こうした行動はマイクロスリップの一種として知られる。状況に応じたマイクロスリップ動作を行うことは、動作に生き物や人らしさを感じさせる上で有用と考え、自動生成を試みてきた。 そこで本研究ではまずキャラクタの動作を駆動するエージェントモデルにおいて、感覚した情報を蓄積する記憶モデルに対しガウス分布に基づく位置の不確実さを付与した。行動における手や頭の動作を記憶に基づいて行う際に不確実な位置情報を参照することにより、動作に失敗を引き起こす。また、記憶はカルマンフィルタにより時間発展するものとし、観測を伴わない記憶が時間経過とともにより不確実になる要素を再現した。その上で、動作の手順において失敗した場合に失敗を引き起こした原因を観測してからその影響下にあった動作要素のみを再実行する仕組みを、動作をビヘイビアツリーで記述することで実現した。 提案する仕組みによって動作を生成し、単一のビヘイビアツリーによって定義された行動から状況に応じて様々な地点で失敗修正を行う動作が生成されることを検証した。また、行動実行前にどの程度の確実さを要求するかのパラメータを変化させることで慎重・大雑把といった性格の違いが表現されることも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
確率的記憶モデルを用いて実際に感覚と運動の協応の一例を再現するような動作生成モデルを実現し、生成された動作の性質について初歩的な検証を行うことができた。このような動作生成モデルは本研究で実現を目指したものの一例である。 一方で、現時点で構築できたシステムは特定の動作にやや特化したものとなっており、クリエイターの作成する多彩な動作においてマイクロスリップ様の動作を挟み込めるようにするような手法や制作環境の実現は今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進にあたっては多彩な動作への適用が必要になる。これまでの研究で動作データを躍度最小軌道列に変換する手法を実現した。今後の研究では躍度最小軌道列に変換された動作データから記憶された目標位置に由来する成分を抽出し、記憶の不確実さに基づく失敗と修正を半自動的に組み込むことができるようにする手法を目指す。動作データと目標位置の関連性の抽出手法としてインタラクションメッシュ等の手法を適用することを試みたい。
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Causes of Carryover |
本年度は基礎的な動作生成モデルの探索を行ったため、大規模な動作のキャプチャや計算処理を行うための機材支出の必要性が生じなかった。次年度では構築した動作生成モデルを適用するための多彩な動作の計測や、比較対象となる人間の失敗修正動作の計測環境、および多数の動作データに対し動作と環境物体位置との相関計算を適用といった計算処理を行うため、動作計測環境と計算機の購入を予定している。
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