2022 Fiscal Year Research-status Report
Exploring information access methods based on structuring narrative content by focusing on characters.
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22K12338
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松下 光範 関西大学, 総合情報学部, 教授 (50396123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 聡史 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (50415858)
山西 良典 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (50700522)
西原 陽子 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (70512101)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 物語コンテンツ / 意味的構造化 / 物語検索 / コンテンツの数理モデル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,物語コンテンツを対象とした内容検索を実現するために,物語の登場人物の発話や行動を手がかりとした物語コンテンツの内容理解・意味的構造化と,物語コンテンツの特徴に基づく人の認知・感性の解析を試みている. 2022年度の主な成果は(1)登場人物の性格特徴の取り扱いに関するモデル化,(2)登場人物間の関係性の視覚化手法の試作,(3)物語コンテンツの忌避要因に対する回避手法の提案である. (1) 登場人物の性格特徴を把握する手がかりとして服装や身体特徴等の外見特性と性格や心的傾向等の内面特性の二観点から関係性を調査し,特定の属性を事前条件とした場合の他の属性についての条件付き確率を算出した.これにより登場人物の見た目から性格を演算し推定できる可能性が示唆された.また,こうした登場人物の性格特徴の収集に適した情報源についてについても検討し,登場人物特徴についてはコミック紹介文が,作品のメタ情報についてはレビュー文が各々適していることが確認された. (2) 登場人物の性格特徴と登場人物間の関係性を動的なグラフ表現を用いて視覚化する手法を試作した.この手法では登場人物を表すノードには性格特徴が,それらを結ぶリンクにはRDF FOAFのRelationshipタイプが各々割当てられている.複数の作品の関係を対比表示させ,注目する性格特徴や関係性を指定することで,類似した作品の把握や特定の関係性が描かれた作品の発見に貢献することが実験により確認された. (3) 物語コンテンツにはしばしば読者が忌避する地雷表現が現れる.この忌避要因は人によって様々であり一律の回避手段は難しい.そこで予告を提示することでそれを回避する手法を考案した.長期のシステム利用実験を通じて,少ない人数であっても地雷表現箇所の登録と予告提示ができること,予告提示により読者に地雷表現に対する心構えを促せることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度はデータセットの構築,情報収集システムの構築を進め,登場人物の性格に関する形式表現の策定を行う予定であった.データセットについては,これまで培ってきたデータを一部流用するなど,効率的に研究を進めたことで,予定より早く進めることができ,研究全体の進捗を前倒しすることができた.そのため,それらのデータを活用したキャラクタの演算方式の検討やグラフ表現の試作を行う段階まで進められている.加えて,地雷表現の回避手法など,蓄積データを活用したインタラクション方法に関する検討も追加で行えている.これらを鑑み,当初の計画を超えて順調に進めることができていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,2022年度に遂行した研究で得られた知見をもとに(1) 時系列変化に伴う登場人物の変化の表現と活用,(2) 物語中のシーンの分類とその検索手法の検討,(3) 主要登場人物の特徴がユーザの認知に与える効果の検証を行う. (1) 2022年度に行った登場人物の性格特徴に関する調査結果に基づき,登場人物の内面特性と外見特性の関連性について数理的な分析を行い登場人物をモデル化するとともに,物語の差別化に貢献する主要な特徴を同定する手法を考案する.また登場人物の内面特性や登場人物感の関係性の時系列変化に着目し,それらの表現形式の検討や可視化手法への反映方法についての検討を進め,検索システムのプロトタイプを作成する.これにより,特定の特徴を持つ登場人物の検索や,類似する登場人物の検索が可能になると期待される. (2) 物語中に登場するイベントをそのイベントに頻出する特徴語の出現傾向に着目して同定し,イベント分割を試みる.この特徴語の収集はコミックと類似した語彙特徴を持つライトノベルを対象として2022年度にすでに着手しており,2022年度はライトノベルから得られた特徴語をもとにコミックのシーン分割・分類を試みるとともに,そのイベントによって変化する登場人物の内面特性に着目して物語展開の類型化とシーン検索への活用を試みる.また,それに併せて適切なデータベーススキーマを設計する.これにより,ユーザの関心や意図に応じたシーンの取得が可能になる. (3) 物語では多様な登場人物が現れるが,その全てがユーザの物語体験・理解に影響するのではなく記憶に残りやすい登場人物や印象を強く与える登場人物がいる.こうした記憶に残りやすい登場人物の特徴をユーザ実験を通じて明らかにし計算機上で処理可能にすることで,よりユーザの認識に近い物語の展開把握や物語中の注目イベントの同定が可能になると期待される.
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Causes of Carryover |
出張を予定していた国際会議(イタリア)が,投稿後にコロナの状況によりオンライン開催に変更になったため,支出を予定していた旅費が不要になったために繰越金が生じた.次年度に繰り越した助成金は,成果の対外発表をより充実させるため,国際会議の発表費・旅費に充てる.
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Research Products
(12 results)