2022 Fiscal Year Research-status Report
コンテンツ制作に宇宙科学データを用いるための技術的な枠組みの検討
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22K12340
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
三浦 昭 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (40280557)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 宇宙科学データ / コンテンツ利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
関連する研究分野やプロジェクト等における可視化の手法についてとりまとめつつ,一般の可視化等への適用や,逆に汎用の可視化ソフトの,関連研究分野やプロジェクト等への適用の可能性等について検討した. 本研究の目的は,広く宇宙科学にまつわる諸データや理論等の数値化も含む,宇宙科学データを一般のコンテンツ利用に供するために何をすべきか、その問に答える一つとして、係るデータ提供部分と コンテンツ制作部分との橋渡しについて、技術的枠組みを見出すことである。当該年度はWebベースの可視化や,プロジェクト用の内製可視化ソフトウェアを中心に調査した. Webベースの可視化については,係るデータの表現手法の実例について基本的な手法や可視化要素の配置,簡易のシミュレーション等,個々の要素について整理・検討した.研究・プロジェクト向けのライブラリ等を適用することが困難であるため,係るデータの事前処理等が必要になる場合がある.また簡易のシミュレーション機能を実装することで,ある程度インタラクティブな可視化が可能となる. プロジェクト用の内製可視化ソフトウェアについては,その一部機能の汎用3D CGソフトウェアへの適用可能性について検討した.コンテンツ制作者が用いると想定される汎用ソフトウェアの中から幾つかを選定し,内製ソフトウェアで実現していた可視化について,再現可能性を検証した.レンダリング精度の観点では不具合が見受けられるものの,厳密なレンダリングが必要とされるケースを除いては,汎用ソフトウェアに備えられたノイズ除去や各種修正機能を併用することで,一般向けとしては充分な品質の映像が生成できる見通しが得られた.また汎用CGソフトウェアの標準機能では宇宙科学分野で用いられているような表面材質(反射モデル)等を十分に再現できないため,表面材質のカスタマイズ機能が肝要であるとの見通しも得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画と対比して,以下のような状況にある. 対象とする「宇宙科学データ」について,本質的な変更は生じていない. 現在は実施計画中の「コンテンツ制作者が用いると想定される開発環境下で実際に宇宙科学データを取り込み,アプリケーションとして現実的 に機能するかどうかの検証」を中心に行っている段階であるが,その過程で,コンテンツ開発環境のプロトタイピングにも差し掛かっている. 研究実施計画で時系列に書かれていた要素が入り組んで進行しているが,研究期間全体から見て,概ね順調に進行していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も,前述のような調査を継続することは一つの柱となるが,加えて,以下のような検討を進める. これまでに得られた知見によると,上記手法が汎用ソフトウェアへの展開可能性を示すものであると同時に,汎用ソフトウェア上で構築された可視化環境は,逆に内製ソフトウェアの動作検証等(例えば複数の手段で構築された可視化結果を照合することでアルゴリズムの正当性を検証できる等)の目的でも有用であることが示唆された.すなわち,それら汎用ソフトウェア上の実装機能が研究・プロジェクト用途(例えばダブルチェック用途のひとつ)としても共用可能であるように検討を進めることで,一般用途と研究・プロジェクト用途の双方で有益な結果が得られることが期待できる. ただし様々な汎用ソフトウェアに個別対応することは労力が多くなるため,複数ソフトウェアに共通して適用可能な技術要素への対応を進めることで複数ソフトウェアへの対応を実現することが現実的であると考えられる.またこれまでに検証した,Web環境で用いられる言語と汎用CGソフトウェアに採用されている言語とは互換性が無いため,徒に開発言語が増加しないように,対象言語の絞り込みや言語間の変換等も考慮する必要があると考えられる. これら適用可能性を検証する上では,対象のソフトウェアの機能・構造について調査する必要があるが,ライセンス等に抵触しない範囲で,まずはオープンソースソフトウェアでの実現可能性を検証し,良好な結果が得られたものについて商用ソフトウェアへの適用を検討するのが現実的であると考えられる.
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Research Products
(3 results)