2023 Fiscal Year Research-status Report
イオン-分子反応を利用した迅速同位体分析に基づく地下水流動解析
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22K12349
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
谷水 雅治 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (20373459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細野 高啓 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (30367065)
伊藤 茜 九州大学, 工学研究院, 助教 (30844659)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ICP質量分析法 / イオン-分子反応 / 同位体 / 化学種 / クロマトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
地球化学的手法を用いた地下水の流動方向や混合解析の研究では、各種同位体トレーサの迅速分析法の確立が必要である。たとえば、地下水中に含まれる特定の人為起源化合物の二次元的な濃度分布から、地下水の起源や流路を推定することが可能である。本年度は、農業由来の有機リン系除草剤に注目し、その高感度検出に関する手法確立を試みた。これらの有機分子の定量には、多くの場合ソフトイオン源を用いた有機質量分析法が利用されるが、親水性低分子化合物の分離は、逆相クロマトグラフィーでの保持が難しく、一方でその他の分離法で利用する非揮発性の溶離液はイオン源への負荷が大きく、正確な定量が難しい。本研究で用いる誘導結合プラズマをイオン源とする無機質量分析法では、化合物分子は元素単位にまで解離されるが、高いイオン化能のため有機質量分析法に比べて定量性に優れている。特に、プラズマイオン源(ICP)は水溶液との親和性が高いため、親水性の低分子化合物の定量には適している。これを緩衝能力をもつ水溶液を溶離液としてクロマトグラフィー装置と接続することで、固定相と移動相との間の相互作用の違いから保持時間が化学種ごとに異なるため、各成分を分離し定量することができる。本研究で用いるICP-MS/MSでは、装置内部でのイオン-分子反応により、当該有機リン含有化合物中のリンイオンP+を装置内で酸素分子との反応によりPO+として検出することで、様々なバックグラウンド干渉を回避して定量を行った。グリホサートとグルホシネートとそれらの代謝物合計4種類の化合物を、無機リン酸イオンと相互に15分以内に分離定量できる手法を確立した。実際に国内の河川水を用いて分析を行い、目的達成に十分な定量下限レベルをもつ高感度な手法であることを確認した。同様の手法は、硫黄を含む有機化合物や、金属元素の有機錯体などの化学種定量への応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
為替レートの変動から、米国製の脱溶媒試料導入装置の購入を一年延期したが、販売元で使用されているデモ機を想定金額の範囲内で入手することができたため、当初のスケジュールに沿って研究が進められつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
脱溶媒装置の導入により、水分子起源の干渉を低減することで、より確度の高い同位体分析手法の確立を目指す。クロマトグラフと接続した化学種ごとの分離定量法の新規開拓についても、有機リン化合物以外のヘテロ原子を含む有機化合物や、複数の酸化数を持つ元素に適用するために、さまざまな溶離条件を検討する。
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Causes of Carryover |
国外での国際会議への参加を予定していたが、国内開催の国際会議に出席したため、旅費が計画よりも安価となり、次年度使用が生じた。次年度は、超純水製造装置や測定機器のパーツの更新が必要な時期になっており、余った費用はこれらの購入に充てる。また、外部の実験施設の利用回数を増やし研究をさらに推進するための旅費に充てる。
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