2022 Fiscal Year Research-status Report
北太平洋西部の海洋循環の変化が沿岸水位上昇に与える影響の解明
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22K12355
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 克徳 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (50604815)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 海面上昇 / 地球温暖化 / CMIP6 / 沿岸水位 / 潮位計 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本沿岸水位の地球温暖化に伴う将来変化を調べるための予備的解析として、CMIP6(第六次気候モデル相互比較プロジェクト)の海洋モデルの海面水位データを54モデルについて取得し、この各モデルについて日本沿岸にあたるモデル格子点の同定を行った。これは各モデルごとに地形や空間解像度やグリッド配置が異なるためである。本研究では日本沿岸における潮位計の地点を基準として全部で32点を同定した。 また同じく沿岸水位の極端現象の将来変化を調べるための予備的解析として、現在の潮位計による沿岸水位の1時間ごとの観測データを用いて、大気データから沿岸水位の日最大水位を推定する統計モデルを作成した。統計モデルの作成に使用した手法は、機械学習の一種であるランダムフォレストと重回帰分析である。大気データは再解析データであるJRA-55の海面気圧、東西・南北の海上風、降水量、2m気温の日データを説明変数、上述した潮位計による日最高水位を目的変数とした。説明変数については潮位計周辺のデータをあらかじめ主成分解析を行ってモードに展開してから用いた。その結果、多くの地点において重回帰分析の方がランダムフォレストよりも良い性能を示した。また統計モデルによる日最大水位の95パーセンタイル値や99パーセンタイル値を実際の観測値と比較すると、実際の観測値の値の方が大きく、ランダムフォレストや重回帰分析による日最大水位の予測値は過小評価することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた「長期上昇の解明」と「極端現象の解明」の両方の研究が開始できており、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に同定したCMIP6モデルの日本沿岸に対応するモデル格子点における海面水位の値を用いて、現在気候における日本沿岸水位の人為起源の変動と将来変化について明らかにする。また同様に2022年度に作成した日本沿岸水位の極端現象を推定する統計モデルを用いて、その将来変化を計算する。
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Causes of Carryover |
国内・国際学会への現地参加が少ないため次年度使用額が生じた。学会参加費や論文投稿料に使用する。
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