2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the formation process of organic aerosols transported during long distances from Tuoji Island, China to Cape Hedo, Okinawa
Project/Area Number |
22K12358
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
島田 幸治郎 琉球大学, 理学部, 助教 (70707190)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 長距離輸送 / 有機エアロゾル / 光化学酸化反応 / 光分解 / オゾン分解 / 有機エアロゾル生成過程 / 有機エアロゾル分解過程 / 国際共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
長距離輸送される同一気塊中のSOA を捕集するために、Shimada et al. (2020)を参考にして気塊の輸送経路である中国Tuoji 島、長崎と沖縄辺戸岬で同時に、2022 年〜2023 年の春季と冬季に大気観測(合計128 試料)を行った。TOC 計で全水溶性有機成分(WSOC)を分析した。全有機炭素(OC)と元素状炭素(EC)をOC/EC計で分析し、全疎水性有機成分(WIOC)はOCとWSOCの差分により算出した。どの試料が同一気塊中のSOA を捕集したか調べるために化学的変質を起こさないEC、衛星と3次元大気化学モデルを組み合わせた解析手法を用いて同定した。特に、その同定した試料の低分子有機物である高極性水溶性有機物(HP-WSOC)と高分子有機物であるフミン様物質(HULIS)をZhou et al. (2022)の方法で2分画に抽出し、エアロゾル質量分析計で定量分析を行った。本研究で同一気塊中に分類されたWSOC の生成と分解を調べるために、EC の規格化により定式化(生成及び分解率=WSOC/EC(Hedo or Nagasaki) / WSOC/EC(Tuoji)×100)をした。その結果、Tuoji 島から長崎へ輸送時のWSOC/EC の平均値は105%の生成率を示した。長崎から辺戸岬へ輸送時のWSOC/EC の平均値は152%の生成率を示した。このことより、WIOC が酸化され水溶性化したことが考えられた。次に、WSOC 中の低分子であるHP-WSOM と高分子であるHULISのどちらの割合が増加しているか調べるため、上記の式と同様にHP-WSOC とHULIS をEC の規格化により定式化した。Tuoji 島から長崎への輸送時のHP-WSOC/EC とHULIS/EC の平均値は172%と250%となり共にとも生成を示した。長崎から辺戸岬への輸送時のHP-WSOC/EC の平均値は94%となり分解を示し、HULIS/EC は285%を示し生成を示していた。このことより、HP-WSOCとWIOCの酸化によりHULIS の生成量がHP-WSOM よりも多くなっていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、まだ新型コロナの影響があったので化学分析が順調にすすまなかった。しかし、2023年度は化学分析を急いで行ったが、まだ十分でない。
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Strategy for Future Research Activity |
1)試料採取:2024年の1月と3月の春季と冬季に辺戸岬に位置する国立環境研究所 辺戸岬 大気・エアロゾル観測ステーション(CHAAMS)(日本)、長崎大学(日本)とTouji島(中国)で2週間のサンプリングを行い、1季節、1箇所につき14個、計42個の試料採取を行う。 2)SOAの分析と評価方法 2-1)捕集されたエアロゾル中の有機物における全有機物濃度はTOC計(水溶性有機物分析)とOC/EC計(水溶性と疎水性の有機物分析)で分析する。各地点で同一の大気汚染物質を観測したか調べるために3次元大気シミュレーションモデルであるCMAQ、エアロゾルを検出できる衛星のCLIPSOと上記の時系列データを組み合わせた解析を行う。そうすることで、各地点で同一の大気汚染物質の試料を選別できる。 2-2)2-1)で選別した大気試料をZhou et al. (2021)の方法を用いて、カラムにより有機成分を3分画し抽出する(疎水性有機物、水溶性有機物、フミン様物質)。Touji島と沖縄とで、フミン様物質の分画が占める割合を比較することで、輸送中に高分子有機物が生成しているかどうかを推定する。 2-3)分画された各々の有機物をZhou et al. (2016)に従い、エアロゾル質量分析計(AMS)を用いて分画された各々の有機物の酸化度および定量化を行う。
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[Presentation] 中国 Tuoji 島から沖縄辺戸岬に長距離輸送される有機エアロゾルの解析2024
Author(s)
.吉野暢晃, 島田幸治郎, 石川栄作, 持田陸宏, 周瑞辰, 孫銭哲, 魏辰然, 板橋, 秀一, 高見明憲, 清水厚, 佐藤圭, 中山智喜, 山口真弘, 佐藤啓市, 畠山史郎
Organizer
第24回 大気環境学会 九州支部研究発表会 第17回 室内環境学会 九州支部研究発表会