2022 Fiscal Year Research-status Report
Does fine root production in deep soil layers support high carbon storage capacity in mangrove ecosystems?
Project/Area Number |
22K12366
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
近藤 美由紀 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (30467211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤嶽 暢英 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50243332)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 炭素循環 / マングローブ / 細根 / 土壌 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱帯から亜熱帯地域の汽水域に発達し、地球上で最もCarbon- richな生態系であるマングローブ林は、土壌中への炭素隔離機能が極めて大きいことから、その保全が温暖化抑止の低コストオプションと考えられている。マングローブ生態系の高い土壌炭素蓄積のメカニズム解明の向けて、土壌分画法と同位体分析を組み合わせ、土壌有機炭素の起源解析を行い、細根に起因する土壌有機炭素を定量化することを目的に、沖縄県石垣島の吹通川で採取したマングローブ林の土壌サンプルから、土壌炭素の起源の1つである細根のバイオマス量を求めた。土壌サンプルを0-20、 20-40、 40-60、 60-80cmに分割し、分割した試料から根を取り出し、生きている根と枯死根を太さ別に仕分けした。生きている根は5種類の太さ別(直径2mm以下、2-5mm、5-10mm、10-20mm、20-30mm)、および枯死根は2種類の太さ別(直径2mm以下、2mm以上)に仕分けし、それぞれの鉛直方向のバイオマス量を求めた。土壌の表層だけでなく、深さ60cm以下の下層においても、生きている根(直径2mm以下、2-5mm、5-10mm)の分布が見られ、植物を支持する太い根だけでなく、入れ替わりが早い太さ2mm以下の生きた細根も分布しており、そのバイオマス量は下層の土壌炭素の起源として無視できない量であった。この結果は、土壌表層に細根が発達する陸上の森林の根の分布パターンとは異なっており、下層においても今現在も新しい細根からの炭素の供給があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの感染状況を加味しながら、密にならないような状態で調査や分析を行う必要があったため、条件検討用に土壌を採取が遅れている。加えて、年度前半に企画部兼務となり、また11月より1年間の長期派遣研修のために、神戸大学へ移動したため、試料の移動や保管等、実験環境を整えるのに時間を要した。このため、過去に石垣島吹通川で採取し、冷凍保存していた土壌コア試料について、本実験用で使用する予定であったが、その試料の一部を使用し、土壌有機炭素の起源解析で、エンドメンバーの1つになる細根について、バイオマス量の鉛直分布を調べ、同位体分析に用いる細根試料の採取を先に進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
土壌有機炭素の比重分画と定量化について、細根と分解速度の異なる炭素プールとなる土壌画分に分ける条件を、よりマングローブ林土壌に適したものに改良することに取り組む。条件検討用に土壌を採取し、細根を目視で取り除いたのち、ポリタングステン酸ナトリウムの重液の比重をいくつかのパターンで作成し、それぞれの比重で分画された土壌の重量測定後、C/Nアナライザーで炭素および窒素含量を測定し、土壌有機炭素プール(各画分)を定量し、同位体分析(13C)等を行う。土壌有機炭素の起源解析で、エンドメンバーの1つであるマングローブを起源とする細根について、昨年度土壌コア試料から取り除いたものの炭素・窒素安定同位体比の分析を進める。
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Causes of Carryover |
コロナの感染状況を加味しながら、密にならないような状態で調査や分析を行う必要があったことに加え、年度前半に企画部兼務となり、また11月より1年間の長期派遣研修のために神戸大学へ出向となったために、条件検討用に使用する土壌試料採取が次年度になり、その試料の分析についても次年度以降となったため。
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