2023 Fiscal Year Research-status Report
細胞の慢性的ストレス応答を指標とした低線量率放射線生物影響の精密定量解析
Project/Area Number |
22K12383
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森島 信裕 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 客員研究員 (40182232)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 低線量率放射線 / 細胞ストレス / DNA傷害 / 活性酸素種 / プロテインアレイ / メタ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線生物影響は主に細胞のDNA傷害による癌化リスクを指標として評価される。しかし、低線量率放射線によるDNA傷害は微小で従来の手法での評価は困難である。また、低線量率放射線の長期被ばくは、DNA傷害に限らず活性酸素種の生成による細胞傷害を引き起こす可能性がある。そこで申請者は細胞が種々の細胞傷害に対して持っているストレス応答系に着目し、応答の定量化によって低線量率放射線の生物影響を評価することを考えた。本研究では低線量率放射線で長期被ばくさせたヒト培養細胞を材料とし、申請者らが開発したプロテインアレイ・精密定量法を用いて各種のストレス応答に関わる蛋白質群の定量解析を行っている。前年度は比較的低い線量率(中線量率に区分される線量率の下限に近い)の放射線をヒト由来正常培養細胞に比較的長時間(50時間)照射する実験を複数回行って得られた細胞抽出液を材料として、DNA傷害や活性酸素種の処理に関わる蛋白質質の定量を行なった。今年度は被ばく条件を二つの観点から変えて調製した細胞試料の解析を開始した。一つ目は前記の被ばく実験で使用した照射装置を用い、高線量率放射線による短時間照射(200秒)を行なった細胞を材料とした。二つ目は鉱物由来の自然放射線を利用した、低線量率放射線によって長期(最長30日)被ばくさせた細胞を材料とした。前者の高線量率短時間被ばくは即座に蛋白質量を変化させない可能性があることを考慮し、被ばく後ある程度の時間をおいてから細胞試料を調製したが、解析した蛋白質の多くは変化量が中線量率被ばくの場合と同程度であった。後者の長期被ばくでは細胞増殖のために継代が必要になるため、多数回の継代を長期間にわたって同一条件で繰り返すことを可能にする培養条件の適正化を行った。また、継代によって発生する可能性がある物理的ストレスの影響を受けにくい蛋白質の選別を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属部署が2023年度末にクローズされることに伴い、研究推進の一方で比較的長期間にわたる仕事場の整理及び装置、器具、試薬類の整理、処分が必要になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
高線量率・短時間被ばく条件下で調製した細胞試料に対しては、主に蛋白質のリン酸化の変化に焦点を当てて解析を進める。低線量率・長期被ばく条件下で調製した細胞試料においては蛋白質量の変化が小さいと予想されることから、蛋白質定量結果に対して多変量解析などの統計学的な方法を適用して、有意な蛋白質量変化があるかどうかを検証していく。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れて解析対象蛋白質の数が事前の想定よりも少なめになり、購入した抗体の数がその分少なくなったため。
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Research Products
(1 results)