2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on the effects of microplastics accumulated in airway and lung specimens on respiratory diseases
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22K12405
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
溝口 聡 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 研究協力員 (20816706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永淵 修 福岡工業大学, 附置研究所, 研究員 (30383483)
朝重 耕一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70457547)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80404268)
松本 理宗 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (70934420)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マイクロプラスチック / 肺の線維化 / 炎症惹起 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、海洋プラスチックによる海洋汚染は地球規模で広がっており、地球環境への影響が危惧されている。5mm以下のプラスチックはマイクロプラスチック(MP)と呼ばれ、特に生態系への影響が懸念されている。MPの中でも数マイクロメートルほどの小さな断片は空気中へ漂っていることが確認されており、気道を通じて肺内へ到達していることは既に報告されている(Pauly et al.1998)。このように小さなMPは徐々に肺内に蓄積し、呼吸器疾患の発症と関連が示唆されているが、世界的に見ても未だ研究は進んでいないのが現状である。現在、日常診療において呼吸器疾患を有する患者に対し、気管支鏡を用いた肺胞洗浄液(BAL) による検査及び手術での肺切除が多く行われているが、本研究では、MPの生体への影響を調べるために、BAL内及び切除肺内にMPが混入しているかどうかを検索し、その疾患発症や症状増悪との関係性を明らかにすることを目的とした。 本研究の現状としては、気管支肺胞洗浄液(BAL)、肺切除検体の症例登録を行うと同時に検体内のMP測定を行ってきたが、BALおよび肺切除検体内の多くの検体でMPが確認されている。またMPが生体に及ぼす影響を評価するため、マウスへのMPの気道内投与モデルにおいて肺の線維化が惹起されることがマッソントリクローム染色およびコラーゲンI染色にて確認された。さらに蛍光MPを使用することで視覚的に肺内にとどまったMPの描出に成功した。 現在サイズの違いで分布に影響があるかを調べるため、レーザー顕微鏡およびラマン分光光度計を用いた検出でMPの肺内の同定および局在の解析を行っているところである。さらに、これと並行して、ポリスチレン吸入により肺内に侵入したMPがどのような機序で肺内での線維化惹起に関わるかをin vitroでの解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、気管支肺胞洗浄液、肺切除検体ともに症例の集積を行っているが、まだすべての症例収集を終えていない。原疾患の分布などの影響もあり、症例登録集積が遅れているが、検体採取自体は緩徐に増加しており、今後目標の症例数を目指して蓄積を継続する。 動物実験については、MP投与のモデルマウスから得られた組織検体を用いて染色などの評価が順次行われているものの、肺内に遺留したMPの局在の評価に重きを置いていることもあり、遺伝子発現・タンパク解析に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
症例の集積を継続するとともに、検体からのMP検出は引き続き福岡工業大学にて行っていく。マウスのポリスチレン期間内投与モデルのサンプルはすでに得られているため、その解析をさらに進めていく。具体的にはMPのサイズによる分布の違いの検出を行うとともに、肺内のどの細胞に影響を及ぼしているか(マクロファージに取り込まれるのかなど)を解析する。肺内のMP検出については企業や他大学との協力により、MP評価方法の改善を図っているところであり、これにより解析がさらに進むことが期待される。 in vitro実験については研究環境および物品・機器などの体制は整っており、着実に計画を遂行していく。
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Causes of Carryover |
動物実験で必要予定であったRNA、タンパク実験分の試薬が予定よりやや遅れているため、今年度中に実験に使用する試薬などの購入に至らなかった。ただし、当初の実験計画に大きな変更はなく、必要な試薬などの購入は次年度に行う必要がある。動物実験と並行してin vitro実験も開始することになるため、予定通り培地や抗体、試薬などの購入に利用する予定である。
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