2022 Fiscal Year Research-status Report
Assessing the effects of novel insecticides on the embryonic development and early growth of a riverine aquatic insect through laboratory and field experiments
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22K12409
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
横山 淳史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (80414506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲生 圭哉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主席研究員 (70391208)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水生昆虫 / 新規殺虫剤 / WET試験 / 遅延毒性 / 現場バイオアッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、代表的な河川水生昆虫であるコガタシマトビケラの卵から若齢幼虫期個体に対する新規殺虫剤の中長期的な影響について、室内および野外で総合的に評価することを目的としている。令和4年度は、①一過性の短期曝露後に遅れて現れる毒性(遅延毒性)の評価に必要な若齢幼虫期飼育法の確立、②新規殺虫剤の調査候補地点の選定と予備的な河川農薬モニタリングの実施、③野外での生物影響を評価するための現場バイオアッセイ条件の検討を行った。 ①若齢幼虫期飼育法の確立:一般に、若齢期の河川水生昆虫を高い生存率で維持することは難しい。本課題ではコガタシマトビケラ若齢幼虫の特性を考慮し、市販の理化学消耗品を加工して特製の飼育容器を作成した。この飼育容器を用いて、飼育水量、水温、急性毒性試験を想定した2日間の絶食の有無等、4条件で1齢幼虫を1週間飼育して生存率・成長を調査した。その結果、絶食期間なしでは平均95~97%、絶食期間ありでは平均87~93%の個体が生存した。絶食期間を設けても水温25℃で飼育した場合、平均2齢幼虫率は約50%に達した。 ②新規殺虫剤を対象とした予備的河川農薬モニタリング:茨城県・栃木県において3河川を調査候補地に選定し、河川水中農薬濃度の予備的調査を実施した。その結果、2河川においてトリフルメゾピリム等の新規殺虫剤を検出した。 ③現場バイオアッセイ条件の検討:市販の理化学消耗品を加工して特製の現場バイオアッセイ容器を作成し実験に用いた。現場バイオアッセイ容器に卵を封入し、河床に設置し、2週間後回収して生存率・成長を調査した。予備実験の結果、1容器10個体、容器のメッシュサイズとして70μmが適していると判断された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①若齢期幼虫飼育法については、90%程度の高い生存率を達成し、令和5年度に予定している室内急性毒性試験やWET(Whole Effluent Toxicity,全排水毒性)試験後の遅延毒性評価に応用可能であると考えられる。②予備的な河川農薬モニタリングにより新規殺虫剤を検出できる調査地点が確定したこと、③現場バイオアッセイの基本的実施条件を確立できたことから、次年度以降の効率的な研究推進が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
①室内試験により、初期成長段階のコガタシマトビケラに対する新規殺虫剤の急性毒性および遅延毒性を明らかにする。②河川水のWET試験を行い、河川水の急性毒性および遅延毒性を明らかにするとともに、毒性と農薬濃度との関連性を評価する。③新規殺虫剤が検出される河川において現場バイオアッセイを実施するとともに、農薬モニタリングにより新規殺虫剤の河川水中濃度を調査する。
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Causes of Carryover |
当初、若齢期水生昆虫の高生存率飼育法は難度の高い課題であり、飼育装置等の作成・検討に必要な物品購入費等の経費がかさむと想定していたが、安価な市販の理化学消耗品を加工し、若齢期の特性を考慮して設計した飼育容器を用いることで、高生存率飼育法の確立を効率的に達成することができ、差額が次年度使用となった。近頃の物価高騰により、次年度以降本格的に実施する農薬の河川モニタリングに必要なパッシブサンプラー等の消耗品価格が当初の想定よりも大幅に上昇していることから、そちらに充当し、効率的に研究を推進する予定である。
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Research Products
(1 results)