2022 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative analysis of subsurface warming in the Tokyo metropolitan area to establish an evaluation method for sustainability of urban subsurface thermal environment
Project/Area Number |
22K12410
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
宮越 昭暢 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 企画主幹 (30392666)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地下温暖化 / 地下水管理 / 地下環境 / 東京首都圏 / 持続可能性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は都市域地下熱環境の持続性評価手法の確立に向けて,東京首都圏における過去20~50年間の地下温暖化の定量評価と支配的な要因の解明を目的とする。過去データと最新データの統合により東京首都圏の地下温度リポジトリを構築し,都市部-郊外の地表付近から地下400m程度を対象とした長期温度変化を明らかにする。この結果を都市化の程度や地下水流動特性と比較検討し,地下温暖化の支配的な要因を指摘する。さらに,温度上昇率に基づく定量評価とそれらの変化傾向に基づく将来予測から東京首都圏の地下熱環境持続性評価を試み,これら研究を手法開発に向けて体系化する。 今年度においては,東京首都圏地下温度リポジトリ構築(研究①)について,東京都内6地点および近隣の埼玉県内4地点において現地調査を実施して,最新データを取得した。また,既往研究で報告される過去データを整理・再評価した。これら過去・最新データを統合して,本地域における地下温度リポジトリを新規構築した。さらに,これらデータは全て都市化の影響が強く反映されていることが想定されたため,都市化の影響が小さいことが期待できる地域として富山県内の観測井を選定し,現地調査を実施して観測状況の確認や最新データを取得した。これらデータは次年度に実施する都市化・地下水流動区分の比較による過去20~50年間の地下温度上昇率と支配要因の検討に適用する。なお,実施状況や成果の一部について,中間成果として学会で発表する予定であったが,コロナ禍により参加が難しい状況であったため,次年度に延期して対応した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間初年度である今年度においては,現地調査の実施による最新データの取得と既往研究による過去データの整理と再評価による東京首都圏地下温度リポジトリの構築(研究①)の計画に基づいて,東京都内6地点および近隣の埼玉県内4地点において現地調査を実施して最新データを取得した。また,東京首都圏における科研費研究を含めた既往研究の成果等,申請者が収集したデータや論文等で公開されている過去データ(概ね20地点)を整理し,観測条件や精度等について再評価した。これら最新・過去データについて,メタデータの項目を統一して統合し,本地域の地下温度リポジトリを新しく構築した。さらに,データの再評価の過程で都市化の影響が大きく反映していることが想定されたため,都市化の影響が小さいことが想定される地域として富山県内の観測井を選定し,現地調査を実施して比較データを取得した。これら初年度の進捗と成果について,中間報告として学会発表(9月)を実施するために準備を進めていたが,コロナ禍の社会情勢から参加が難しく,次年度に延期して対応した。以上の通り,研究①の進捗は順調であること,学会参加の延期は研究の進捗に大きな影響を与えないことから,当初計画に沿って概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,研究①で構築した地下温度リポジトリを活用して,研究②「都市化・地下水流動区分の比較による過去20~50年間の地下温度上昇率と支配要因の特定」,研究③「手法開発に向けた地下温暖化の定量評価と将来予測に基づく持続性評価」に取り組む。研究②については,都市化・地下水流動区分の比較による過去20~50年間の地下温度上昇率と地下温暖化の支配的要因の特定について,各観測地点について,土地利用データの変遷に基づく都市化区分(都市部-郊外)と,地下水位データや揚水量データの推移に基づく地下水流動区分(涵養域-流出域,地下開発の程度)を実施する。また,観測データに基づいて過去20~50年間の地下温度上昇率を明らかにし,各地点における地下温度変化の特徴と都市化・地下水流動区分を比較検討して,地下温暖化の支配的要因を特定する。研究③については,地下温暖化の定量評価と将来予測に基づく都市域地下熱環境持続性評価として,地下温度上昇率とその変化を産出し,それらの分布と地域的な特徴を明らかにする。また,過去-現在における地下温度変化の長期トレンドや地下温暖化の支配的要因の寄与の大きさと変化に基づいて将来予測を試みる。さらに地下環境評価手法の確立に向けての研究①~③の体系化を試みる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由について,物品費の残額はデータ解析用PCと調査機器および調査用消耗品の調達費であり,人件費・謝金の残額はデータ入力補助費である。これらは研究の進捗を考慮して,次年度に仕様の調整や調達手続き等を実施して支出する計画である。また,旅費とその他の経費の残額は学会参加に伴う旅費と参加登録料等であり,コロナ禍の社会情勢により参加困難となったため次年度に使用する計画である。次年度の使用計画は決まっており,研究の進捗に支障は無い。
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