2022 Fiscal Year Research-status Report
Cutting the cost and reducing environmental load of radioactive liquid waste treatment by using raw materials for food and daily necessities
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22K12426
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
廣田 昌大 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (50443073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桧垣 正吾 東京大学, アイソトープ総合センター, 助教 (50444097)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヨウ素 / 放射性物質 / 放射能除去 / 廃棄物管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射性ヨウ素を含む廃液を下水道に放流するためには、放射能濃度が基準値を下回るまで長期間保管したり、多量の水で希釈したりすることが必要になる場合がある。 水から放射性ヨウ素を分離できれば、廃液の処理が容易になる。初年度は、廃液から放射性ヨウ素を分離する処理剤として、高吸水性ポリマーとα-シクロデキストリンの有効性を検証した。精製水と人工尿に Na125I を添加し、放射性ヨウ素治療患者の尿と同等のヨウ素を含む模擬廃液を調製した。 調製したままの模擬廃液を高吸水性ポリマーの入った容器に流し込み、90日間放置した。 模擬廃液中のヨウ素残存率は、125I放射能を測定することにより推定した。水が十分に乾燥した場合、15日目の残留ヨウ素率は、精製水および人工尿からなる模擬廃液で、それぞれ0.102および0.884であった。 α-シクロデキストリン5%の精製水を高吸水性ポリマー1gに吸収させた模擬廃液の残存率は0.980であった。 また、SAP1gに2%のαシクロデキストリンを吸収させた人工尿からなる擬似廃液の残存率は0.949であった。αシクロデキストリンと組み合わせた高吸水性ポリマーは、廃液から放射性ヨウ素を分離するための効果的な処理剤であることを実証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、廃液の固形化と放射性ヨウ素揮発抑制に対する高吸水性ポリマーとαシクロデキストリンの最適混合比の導出を目標に実験を行った。その結果、不純物を含まない模擬廃液についてはαシクロデキストリンを5%濃度となるように添加して高吸水性ポリマー1gに吸収させることにより、放射性ヨウ素の残存率0.98にて水と分離できることが明らかになった。 また、放射性ヨウ素が投与された患者の尿を想定した模擬廃液については、α-シクロデキストリンを2%濃度となるように添加して高吸水性ポリマー1gに吸収させることにより、放射性ヨウ素の残存率0.95にて水と分離できることが明らかになった。 このことから、最適混合比は廃液中の不純物の有無や濃度によって変化することも明らかになった。そしてこの成果を「第4回日本保健物理学会・日本放射線安全管理学会合同大会」において発表したほか、「放射性廃液の処理方法および放射性物質捕捉剤(出願番号:2023-043437)」として特許出願を行った。また、現在Health Physics誌への論文投稿を行い、査読を受けている。このように、実験結果を得るのみならず、学会発表、特許出願、論文投稿と目に見える形で成果を出すことができたことから、おおむね順調に添加していると考えることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究申請時、廃液からの放射性ヨウ素の回収率は溶液における不純物の有無が大きく影響すると考え、2年目は「廃液の固形化及びヨウ素の保持を阻害する物質の特定,及び影響低減法の確立」を目的に研究を行う予定であった。しかし、不純物が含まれていても、高吸水性ポリマーとαシクロデキストリンの混合比を変えることでヨウ素をほぼ残存させたまま液体と分離できることが明らかになった。一方、でこれまでの実験では水を15日間に渡って自然乾燥させることによって放射性ヨウ素を分離した。15日間もかけて分離することは実際の廃液処理を行う上では現実的ではない。そこで次年度は、廃液を高吸水性ポリマーに吸収させてから加熱する、若しくは遠心分離行うなど、強制的に分離させることを試みるとともに、この時の放射性ヨウ素の残存率を評価する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、実験機材の納期が大幅に遅れたことにより、当初予定していた機材や実験手法の変更、購入時期の延期等に迫られ、次年度使用額が生じた。昨年度、実験手法の見直しや延期を行ったもののうち、実用化に向けて改めて評価を行わなければならない項目について、次年度使用額を充てて評価を行う。
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Research Products
(2 results)