2023 Fiscal Year Research-status Report
Removal and recovery of selenium from the contaminated soil by activating the metabolism of the soil microorganisms
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22K12434
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
黒田 真史 常葉大学, 社会環境学部, 准教授 (20511786)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | セレン / 土壌浄化 / バイオレメディエーション / バイオボラタリゼーション / レアメタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、土壌中に生息する微生物の代謝を活用してセレンを揮発化させ、土壌からセレンを除去・回収し、土壌とセレンを同時に資源として再生する技術を開発することを目的としている。本年度は、新規セレン揮発化微生物の取得を目指して、セレン揮発化微生物群集の集積を試みた。畑土壌および静岡市内の下水処理場から採取した活性汚泥を植種とし、5 mMの亜セレン酸を含む合成下水中で、30℃で好気的に1週間培養した。上清の一部を分析用試料として採取し、残る培養液を遠心分離により固液分離した後、沈殿物に5 mMの亜セレン酸を含む新たな合成下水を加えて同条件で培養した。この操作を繰り返すことで、セレン代謝微生物を集積した。液相および固相の全セレン量を原子吸光高度計を用いて分析し、その結果から計算した各バッチごとのセレンの物質収支よりセレン揮発化量を推定した。畑土壌を植種とした実験系では安定したセレン代謝が行われなかったため、4バッチ目以降は培養を中止した。一方で、活性汚泥を植種とした実験系では、培養開始直後のバッチから安定して60-90%の液相セレン除去率を示し続け、セレン代謝微生物が速やかに集積されたと考えられた。21バッチにわたり培養を繰り返し、各バッチの物質収支を計算したところ、1、2、9、16、21バッチ目では15-26%、12バッチ目では49%の揮発化率を示した一方で、その他のバッチでは0-10%の揮発化率だった。また、19バッチ目の培養液を採取し、適宜希釈した後、5 mMの亜セレン酸を含むTSB寒天培地にスプレッドして培養したところ、形態の異なる3種のコロニーが観察され、いずれも単体セレンの生成を示す赤色に呈色したが、4週間の培養期間中に赤色の退色はみられず、活発にセレンを揮発化する微生物ではないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
畑土壌および活性汚泥からのセレン揮発化微生物の集積を試み、活性汚泥からのセレン代謝細菌の集積には成功したものの、安定してセレンを揮発化させる微生物の取得には至らなかった。活発な新規セレン揮発化細菌を未だ見出すことができていないことから、やや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、植種の種類、培地成分、植え継ぎの間隔等の検討を通じて、活発にセレンを揮発化する集積系を構築し、単離した微生物について、セレン代謝活性を定量的に明らかにするとともに、培地成分や通気条件、他の電子受容体の存在等がセレン代謝に及ぼす影響を明らかにすることを通じて、セレン代謝を活性化させる培養条件を検討する。また、並行して、新たな環境試料からセレン代謝細菌の集積・単離を進め、より活性の高いセレン代謝細菌の取得を目指す。
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Causes of Carryover |
510円の繰越が生じたが、ごく少額であり、特に研究計画に変更が生じたためではない。繰り越した研究費は消耗品等の購入費として2024年度中に使用予定である。
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