2022 Fiscal Year Research-status Report
Creation of Ceramic Brake Materials Having Self-Healing Function by Sliding Heat
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22K12440
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸岡 大佑 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (20753792)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自己治癒材料 / 熱酸化 / 金属粒子 / ナノコンポジット / アルミナ / 自動車材料 / ブレーキ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は自動車用新規セラミックブレーキ材料を開発することを目指している。現行材料からセラミックスに代替することで自動車の軽量化を達成し、燃費向上が期待できる。セラミックスは強度信頼性が低いため、自己治癒機能を有するセラミックス複合材料の適用を目的としている。本研究課題における自己治癒機能は、分散材の酸化により生成した酸化物により材料表面のき裂や欠陥を充填し、機械的強度を回復させる機能を指す。ブレーキ摺動熱による自己治癒機能の発現を想定しているため、100-400℃で極短時間の自己治癒を実現するセラミックス基複合材料の開発を目指している。 2022年度は種々の低融点化合物を分散材としたアルミナ基複合材料を加圧焼結によって作製し、400℃、5分で大気中酸化処理を実施した。緻密な試料を作製するため、低融点金属粒子を分散する際は、ガラスセラミックスを焼結助剤として混合し、融点以下での固相焼結を実現した。材料系の探索として金属アルミニウムやアルミニウムとケイ素の合金、炭化チタンなどを実施したが、いずれも緻密な焼結体の作製が困難であるか、導入したき裂を想定温度域で消滅させるだけの酸化物生成が見られなかった。最終的には、選定した金属粒子を分散材としたアルミナ基複合材料を作製し、400℃、5分の大気中酸化により、き裂の消滅を確認できた。今後は、より低温度におけるき裂消滅を達成するための検証や材料設計、ならびに強度回復挙動を調査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題申請時に第1候補として挙げていた金属アルミニウム粒子を複合化した材料の自己治癒挙動を調査した。低融点金属を焼結する場合は、液相焼結を行うか、融点以下の温度での焼結が必要であるが、前者では凝固時の収縮とみられる気孔形成がみられ、後者は緻密な試料の作製が可能な温度では焼結が不可能であった。そのため多孔質体の複合材料を作製して酸化処理を実施したところ、金属アルミニウムの酸化は見られるものの、最初期にアルミナ皮膜が生成することでき裂を消滅させるほどの酸化物成長は認められなかった。そのほかチタンやケイ素の化合物を志向したが同様の結果であった。最終的にはその他の金属粒子を分散材として用い、さらにガラスセラミックスを焼結助剤として用いることで、緻密な金属粒子複合材料の作製に成功し、400℃、5分の大気中熱処理でき裂の消滅を確認できた。き裂の消滅を確認できたため、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は選定した金属粒子をアルミナおよびガラス材料と複合化し、100-400℃の温度域で短時間熱処理した試料のき裂消滅挙動を調査し、金属粒子分散率や分散粒子径の影響について調査する。さらに強度試験片を作製して、き裂を消滅させた試料の強度試験を実施し、強度回復挙動について調査する予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度は当初は電気炉を導入予定であったが既設設備及び別財源で購入できたため、その分を電気炉周辺部の冷却部品等の購入や周辺設備の修理費用に充当した。結果として当初予算より低額に収まったため、次年度使用額が生じた。次年度は試験片作製による加工費がかかるため、そちらに一部充当予定である。
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