2022 Fiscal Year Research-status Report
リン資源循環の鍵となるリン酸とアルコールによるリン酸エステル合成反応の開発
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22K12445
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
川口 真一 佐賀大学, 農学部, 准教授 (00722894)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リン酸エステル / 縮合反応 / リン酸 / リンのリサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リンの工業的リサイクルのブレイクスルーとなるリン酸を出発原料にしたリン酸エステルへの変換反応の手法について研究を進めている。今年度はリン酸とアルコールを用いたリン酸エステルを合成する反応において、リン酸モノエステル、ジエステルが選択的に生成する条件(温度、試薬の割合、反応時間など)を検討し、適切な条件を明らかにした。さらに、アルコールの基質の適応範囲を検討し、芳香族アルコールを用いるとリン酸からリン酸ジエステルが生成することを初めて見出し、論文にまとめた。さらに、工業的な利用を目指すため、ジアリールリン酸合成のスケールアップを進め、100gスケールでの合成を達成している。また、工業リン廃液からも同様の検討を行い、リン酸とアルコールを用いたリン酸エステルを合成する反応において、NaClなどの無機塩が混入すると反応が著しく阻害されることを明らかにした。その結果、無機塩を取り除くなどの検討を進め、好悪業廃液からでも100gスケールでの合成を達成している。本スケールでの合成においては精製が大事である。合成スケールが大きくなると、精製時における手段が限られる。本研究では最もコストが安価な方法の一つである、分液による精製を主に行い、99.7%の純度で目的物を得ることに成功している。現在は、次なるリン資源としてフィチン酸に着目し、反応や精製の条件を検討している。生成物のリン酸エステルの難燃剤や乳化剤としての利用についても検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初の目的であるリン酸をリン源として用いたリン酸エステルの合成を100グラムスケールで達成した。また、アルコール基質の適応範囲を詳細に調べ、また対照試験により、反応経路を調べ、論文に掲載されるところまで研究が進んでいることから順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、植物由来リン源であるフィチン酸をリン源としたリン酸エステル合成反応を中心に検討する。反応条件の検討や精製条件の検討を進める。そして工業利用できるようスケールアップ及び、スケールアップに適した精製条件等も検討する。
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Causes of Carryover |
大きく次の2点が原因と考えている。・コロナ禍で学会等の参加がほぼなく、旅費の使用がなかった。・精製時にかかる費用として消耗品費を計上していたが安価で大量に精製できる方法を見出したのでその分今回の使用量が少なかった。次年度以降は対面での学会参加の需要回復が大きく見込まれるのとさらに研究を進めるのに必要な消耗品に利用する。
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Research Products
(3 results)