2022 Fiscal Year Research-status Report
植物性廃棄物由来のクロロゲン酸の機能を活用した、有機色素の光退色抑制技術の開発
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22K12454
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
奥村 寿子 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (20600018)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 植物性廃棄物 / ポリフェノール / クロロゲン酸 / 光反応 / 有機色素 |
Outline of Annual Research Achievements |
持続可能な社会の実現のためには、農産業において排出される未利用資源の有効活用は重要な課題である。本研究では、植物性廃棄物であるサツマイモ茎葉から、有用物質であるクロロゲン酸類を抽出回収し、そのラジカル補足能を光増感性の有機色素の退色抑制剤として活用させる技術開発を目的とした。 2022年度は、研究実施計画に沿って、「有機色素の退色抑制に対するクロロゲン酸の有効性確認」および「サツマイモ茎葉抽出物の作成」に取り組んだ。 「有機色素の退色抑制に対するクロロゲン酸の有効性確認」 退色抑制効果の調査について、クロロゲン酸類のうち、サツマイモ茎葉中の含有量の多いtrans-5-CQAを用いて、その共存下における4種類の有機色素(メチレンブルー、ローズベンガル、アクリジンオレンジ、エオシンB)の光退色抑制について検討した。CQAの有無による色素残存率を比較すると、CQAを含む溶液は色素のみの溶液に比べて残存率が高く、すべての光増感色素に退色抑制効果があることが分かった。次にLC-MSを用いてCQAの残存率と生成物の比較を行った。その結果、全ての色素でcis-CQAと複数のCQA-dimerが確認された。 「サツマイモ茎葉抽出物の作成」 回収した生の茎葉の乾燥方法、保存前処理法、クロロゲン酸類の抽出方法を検討した。その結果、省エネの観点からは、自然乾燥が最もエネルギー所要量が少なくできる上、乾物として保管してもクロロゲン酸類の抽出量に影響はなく、成分が安定的にそのまま保持されていることが分かった。抽出時には50%程度の含水アルコールが効果的であった。アルカリ性の試薬や加熱による前処理は、各成分の抽出組成に影響を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた、複数の有機色素の退色抑制に対するクロロゲン酸の有効性の確認およびサツマイモ茎葉抽出物の作成は達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、まず、有機色素の退色抑制に対するクロロゲン酸の効果について、詳しいメカニズムの解明に向けて研究を進めていく。 次年度以降に計画している項目のうち、有機色素へのクロロゲン酸の物理的あるいは化学的な担持技術の開発および、精製度の異なるサツマイモ茎葉抽出物の退色抑制効果の調査に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた噴霧凍結乾燥造粒ユニット凍結乾燥機について、研究結果を鑑みて購入を取りやめ、次年度以降に反応解析に必要な検出器の購入を検討している。
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Research Products
(3 results)