2022 Fiscal Year Research-status Report
衛星画像と環境DNAによる尖閣諸島魚釣島の野生化ヤギの影響の評価の試み
Project/Area Number |
22K12459
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
横畑 泰志 富山大学, 学術研究部 理学系, 教授 (60222387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 正美 酪農学園大学, 農食環境学群, 講師 (00347767)
佐藤 行人 琉球大学, 医学部, 講師 (20566418)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リモートセンシング / 人工衛星画像 / 野生化ヤギ / 絶滅危惧種 / 固有種 / 正規化植生指標 / 環境DNA / ホットスポット |
Outline of Annual Research Achievements |
ヤギ導入前の1978年から2019年までの空中写真、人工衛星画像による魚釣島の画像5件から、島の全面積に対する野生化ヤギの影響による裸地の面積の割合の変化をISOデータ法を用いて推定し、ごく最近1年間(2018年ー2019年)の裸地の増加速度が2006年ー2018年の10倍近くに増加しており、島の固有種、絶滅危惧種に大きな影響が出ている恐れがあることを示した。この結果は日本哺乳類学会2022年度大会(三重県津市、8月)で報告した。 さらに、それらの画像のうち2件(1978年および2000年)、2017年ー2023年の新規衛星画像3件を用いて正規化植生指標(Normalized Difference Vegetation Index 、NDVI)を計算し、同様の経時的な比較を行った。この分析により、45年間で裸地の面積が顕著に拡大したことが明らかになった。これらの変化は急勾配の地域で特に顕著であり、その要因を理解するにはさらなる調査が必要であることが示唆された。例えば、近年の台風の増加のような地球規模の気候変動に関係するとされる現象の影響を検討すべきであろう。 環境DNAによる魚釣島の生物相の現状把握は、国際情勢のさらなる悪化、特に台湾をめぐる情勢の緊迫化に伴い実施が難しい。そこで、今年度は尖閣諸島に比較的近い石垣島全島の環境DNA調査(レプトスピラ症と宿主動物の推定)を行った。その結果、島の平野部の生物多様性を、河川の上流部に多様な環境を含む一箇所でかなり網羅的に検出できる、「環境DNA ホットスポット」とも称すべき場所を見つけることができた。この知見は、魚釣島の河口部で採水を行う場所の選定を行う際に参考にすることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リモートセンシングを用いた野生化ヤギによる魚釣島の植生への影響の分析は、新規画像の入手や正規化植生指標の導入もあり、ある程度進んでいる。環境DNAを用いた島の生物相の現状把握については、国際情勢の悪化、特に台湾をめぐる情勢の緊迫化の影響により実施が難しく、本来の計画に沿った研究を行えているとは言い難い。
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Strategy for Future Research Activity |
最大の懸案である現地での採水の可能性については、内閣官房・領土・主権対策企画調整室や、尖閣諸島付近の海域で船舶を用いた調査を行っている東海大学の関係者と連絡をとって模索している。リモートセンシングについては、新たに日本国内で野生化ヤギのみられる他の島嶼との比較を新たに行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
国際情勢の悪化、特に台湾をめぐる情勢の緊迫化の影響により、環境DNAを用いた島の生物相の現状把握のための採水計画が進捗しなかった。
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Research Products
(1 results)