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2023 Fiscal Year Research-status Report

A comprehensive evaluation of the positive and negative impacts of natural disasters frequently occurred at Kumamoto Prefecture on coastal and river ecosystems

Research Project

Project/Area Number 22K12463
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

山田 勝雅  熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (80569195)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 新垣 誠司  九州大学, 理学研究院, 准教授 (10452963)
小森田 智大  熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (10554470)
逸見 泰久  熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 教授 (40304985)
吉野 健児  国立水俣病総合研究センター, その他部局等, 室長 (40380290)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords自然災害 / ハビタット創出 / 沿岸生態系 / 時間的不変性 / 群集軌道 / Eco-DRR / メタ生態系 / 自然再生
Outline of Annual Research Achievements

2016年4月 熊本地震による被害復興が現在も続く中,熊本県を中心とした北部九州は追い打ちをかけられるように,2019-2020年の夏季の酷暑に続き,2020-2021年と連年で起きた7月の熊本豪雨災害と自然災害を次々と連続的に受けた.
自然災害後の生態系で受ける影響は,必ずしも「負の効果」だけではない.災害によって裸地(更地)となったエリアに,水害等で流れ込んできた今までとは異なる生態系に属する植物や動物が繁殖をはじめ,新たな生態系が生み出される場合がある.生み出された生態系はモザイク状に性質の異なる生態系を織りなし,相互作用のあるメタ生態系を作り出す場合もある.言い換えれば,自然災害という大攪乱は「生態系を消失」させたのと同時に,新たなハビタット(異なる性質の生態系)の創出も成しているのだ.すなわち,「自然再生」と「自然災害」は正と負の双方を有した表裏一体の関係にある.しかし,これまでの景観生態学的研究では,自然災害は「負の効果(生態系の崩壊)」ばかりが注目され,「正の効果(生態系の創出)」は積極的に扱われず,正負の2つの効果の定量評価を行うという発想は乏しい.
本研究は,熊本県における自然災害の連発によって改変が起こった沿岸・河川生態系について,どのような生態系改変が起こったのか,災害地の動植物群の群集動態を基にマップ(GIS)ベースで整理することによって,熊本県で連発した自然災害(地震・氾濫)が水圏生態系に与えた正と負の影響を景観生態学的観点から定量評価した.災害前後の沿岸・河川生態系エリアの変化を定量化した結果,熊本震災によるがけ崩れによって創出されたと考えられる天草の岩礁潮間帯など,いくつか災害によって創出された生態系が抽出され,周辺生態系への正負の効果についての検証が行われた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2016年の熊本震災以前の熊本県の沿岸(藻場・干潟・岩礁)・河川生態系の衛星写真,航空写真,生物相を,県や国水研の報告書等より,GISベースで得られたマップデータをもとに,2016年以降(熊本震災),自然災害[地震・酷暑(干ばつ・植生衰退)・水害(土砂崩れ含)]が発生した場所を重点地区として,主にドローン撮影,現地調査等によって,面積等が変化した各生態系(局所生態系)をトレースし,災害前後の生態系エリアの変化を定量化した.その結果,熊本震災によるがけ崩れによって創出されたと考えられる天草の岩礁潮間帯など,いくつか災害によって創出された生態系が抽出された.一方で,地盤沈下や干ばつ等のがけ崩れ以外が生じた地域では,生態系は災害後速やかに回復している傾向も見られた.

Strategy for Future Research Activity

抽出された熊本震災のがけ崩れによって創出されたと考えられる天草の岩礁潮間帯は今後の生物相(遷移)追跡の重点調査区とし,引き続き,近隣生態系間での群集構造の重複等の観点から,生態系間の連結性の解析を行う.また,この創出された生態系が「防災」の機能を担う可能性があるかを検証する.さらに,地盤沈下や干ばつ等のがけ崩れ以外が生じた地域での生態系の速やかな回復傾向が検出されたさらにデータを追加して検証する.

Causes of Carryover

熊本県内の調査と文献収集,解析が主だったため,旅費の使用がほとんどなかった.また,雇用を予定していた研究補助員の選定に時間を要したため,雇用開始が遅延し,次年度使用額が生じた.次年度は,熊本県内の旅費を計上するとともに,前年度に完了できなかった作業を追加して研究補助員を雇用する.

  • Research Products

    (10 results)

All 2023 Other

All Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 2 results) Presentation (5 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Food Web Structures and Mercury Exposure Pathway to Fish in Minamata Bay2023

    • Author(s)
      Yoshino Kenji、Yamada Katsumasa、Kanaya Gen、Komorita Tomohiro、Okamoto Kai、Tanaka Masaatsu、Tada Yuya、Henmi Yasuhisa、Yamamoto Megumi
    • Journal Title

      Archives of Environmental Contamination and Toxicology

      Volume: 85 Pages: 360~373

    • DOI

      10.1007/s00244-023-01040-y

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] 有明海に面する緑川河口干潟においてエイ類による捕食がアサリ個体群に及ぼす影響の定量的評価2023

    • Author(s)
      本田陸斗, 山北剛久, 山田勝雅, 山下奈々, 小森田智大
    • Journal Title

      日本ベントス学会誌

      Volume: 28 Pages: 22-27

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Effects of salinity, temperature, and immersion conditions on seed germination of invasive Spartina alterniflora Loisel (smooth cordgrass) in Japan2023

    • Author(s)
      Matsuda Ryuya、Yamada Katsumasa、Hayasaka Daisuke、Henmi Yasuhisa
    • Journal Title

      Regional Studies in Marine Science

      Volume: 57 Pages: 102738~102738

    • DOI

      10.1016/j.rsma.2022.102738

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] 基礎生産培養実験と係留系を用いた河口干潟における時間解像度の高い底生微細藻類と植物プランクトンの基礎生産量の定量2023

    • Author(s)
      尾崎竜也,小森田智大,中津伸彬,馬込拓海,山下奈々,本田陸斗,田井 明,山田勝雅
    • Journal Title

      月刊海洋

      Volume: 56 Pages: 156-164

  • [Presentation] 岩礁潮間帯生物群集の集合規則:加入と遷移パターンから2023

    • Author(s)
      山田勝雅, 前川勝哉, 山本 智子, 逸見泰久
    • Organizer
      三学会合同熊本大会
  • [Presentation] 八代海南部海域(水俣湾)における植物プランクトンの基礎生産量と沈降フラックスの季節変化2023

    • Author(s)
      小森田智大, 中村双葉, 田中智己, 一宮睦雄, 山田勝雅, 金谷弦, 吉野健児
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合2023年大会
  • [Presentation] 緑川河口干潟におけるエイ類によるアサリへの捕食量の定量的評価2023

    • Author(s)
      本田陸斗, 山北 剛久, 山田 勝雅, 山下 奈々, 小森田 智大
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合2023年大会
  • [Presentation] 昼潮期と夜潮期で底生微細藻類と植物プランクトンの基礎生産の量比は異なるのか?:緑川河口干潟における事例2023

    • Author(s)
      尾崎竜也, 小森田智大, 中津伸彬, 馬込拓海, 山下奈々, 本田陸斗, 山田勝雅, 田井 明, 比嘉紘士
    • Organizer
      2023年度日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会
  • [Presentation] カイヤドリウミグモは宿主二枚貝が死ぬとどうなるのか2023

    • Author(s)
      冨山 毅, 山田勝雅, 玉置雅紀, 宮﨑勝己
    • Organizer
      2023年度日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会
  • [Remarks] 有明海・八代海が有す生物多様性保全と海洋資源の持続的利用の共存の糸口を見出す

    • URL

      https://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/katudou/SDGs/action/1

URL: 

Published: 2024-12-25  

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