2023 Fiscal Year Research-status Report
Do declines in native flowers promote the cultivation and invasion of non-native ornamental plants?
Project/Area Number |
22K12468
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
江川 知花 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主任研究員 (10765019)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 侵略的外来種 / ガーデニング / 都市化 / 自然植生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、都市域から郊外まで、自然植生の残存量の異なる様々な地域における外来園芸植物の逸出状況を把握するとともに、外来園芸植物が庭や花壇を逸出して栽培地外で生育する(野生化する)ことに対する人々の認識を明らかにし、外来園芸植物の野生化を防ぐ上で有効な方策について検討する。 本年度は、昨年度に引き続き5月から6月の園芸植物の花期シーズンに、東日本の8地点において外来園芸植物の逸出状況および園芸量販店における販売状況を調査した。その結果、これまでに調査した地点と同様、多くの外来園芸植物の逸出が確認された。さらに、庭や花壇外に逸出している種の数や構成は、地域によって偏りがある傾向があることが見出された。逸出が確認された種の一部は園芸センターで現在も販売されていたが、逸出が特に高頻度で確認された種の多くは、現在は販売されていない種であった。上記の調査に加え、外来園芸植物が庭や花壇以外の場所に生育することに対する人々の認識を明らかにするためのウェブアンケート調査の設計を行った。アンケート調査は、次年度に実施する予定である。 研究を遂行する上で、園芸植物としての流通名から種を同定することが難しいケースが多々あることが課題となっている。また、フラワーミックスシード等として複数種の種子が種名をすべて明記せずに販売されている場合があり、こういったケースでは実際に種子を蒔いて栽培した上で種の特定を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、本年度の2年間で東日本18地点において外来園芸植物の逸出状況を把握することができ、サンプリングが順調に進捗した。一方、当初本年度に実施を予定していたウェブアンケートについて、設計に時間を要するため実施を次年度に遅らせることにした。また、市場流通している種の把握に時間がかかっていることから、全体的な進捗としては、予定よりもやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
外来園芸植物の逸出および販売状況について、さらに調査地点を増やし、サンプルサイズを拡大する。特に、関東の都市圏から離れ、自然植生の多く残る地域におけるサンプリングを重点的に行う。さらに、外来園芸植物が庭や花壇以外の場所で花を咲かせているを見た際にどのように感じるかを尋ねるウェブアンケートを全国規模で実施し、外来植物の野生化に対する一般的な認識を明らかにする。以上の調査の結果を統合し、外来植物の野生化がどの程度進行しているか、進行度合いに地域はあるか、外来園芸植物が野生化していることに対して人々はどのような認識を持っているか、その認識の形成に都市化に伴う自然植生の減少が関係しているかどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
当初は本年度に実施を予定していたウェブアンケート調査について、設計に万全を期すため実施を次年度に行うこととし、そのための経費を繰り越した。さらに、園芸植物の逸出状況の調査のための旅費について、他の調査に付随して実施したことにより、当初の予定よりも支出が抑えられた。次年度は、繰り越した経費を使用してアンケート調査を実施する。さらに、繰り越し分の一部を、円安のため高騰している研究成果の公表に係る諸経費(外貨建ての英文校閲、オープンアクセス費)に充当する。
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