2022 Fiscal Year Research-status Report
Bottom-up lifestyle innovation based on narrative approach and stabilizing mechanism
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22K12504
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
古川 柳蔵 東京都市大学, 環境学部, 教授 (60420006)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナラティブ / 食品ロス / くさりかけ野菜 / オントロジー工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、食品ロスに関する価値観が転換し、変化した行動が継続的に行われる要因を明らかにすることを目的とした。方法としては、ライフスタイルの構造を重層的に明示化するオントロジー工学の行為分解木手法を用い、くさりかけ野菜の処理・対処における共通概念を見出し、それに基づきワークショップ及びアンケートを実施し、ナラティブ・アプローチを用いた場合と共通概念を提示する場合の比較分析を行った。くさりかけ野菜の処理・対処における共通概念については、オレンジページ2020年発行の『これってまだ食べられる? くさりかけ事典 食べようび』に記載された野菜30種類を対象とした。行為分解木の記述の結果、くさりかけ野菜を有効活用するには野菜の種類に限らず共通の方式概念が抽出された。これらを用いて、食材に対する個別知識があれば食べられるものを捨てずに済む。また、食材の対処方法に関する基本的な概念があれば、さまざまな食材に応用できるのではないか、という仮説のもと、ワークショップ及びアンケートを実施した。その結果、情報提供には意識変化の効果があるが、概念構造を伝えるよりも個別事例(ナラティブ)を伝える方が意識・行動変化に影響があり、事例数が最も少ない2事例の情報提供の場合が、実践を促すことが明らかとなった。実際に、実践にはレタスが選ばれることが多く、やりやすい野菜が試されていると考えられる。より効果的に意識・行動を変化させ概念構造を転換するためには、最初のインプットは興味深かった、心が動いたと感じさせるような事例数が少ない情報提供にとどめ、知識を周囲の人に伝える機会を与え、その上で、くさりかけ野菜の処理・対処を実践してもらうのが良いと考えられる。さらに他の食材についても処理・対処方法を知りたくなるよう促すことができれば、今後の野菜・食材の廃棄を減らすよう段階的に概念構造が転換・定着していく可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は予定通り、食材の未利用資源を活用する意味やプロセスについて地方の産地において、その未利用資源を活用した食を体験できるワークショップ(WS)を開催し、対話を通して食材の未利用資源を食することに関する新たな自分の物語をイメージしてもらい、住民にとっての未利用資源活用の新たな意味づけや意識への定着を促し、その結果として、意識変化や行動変容を起こすことができたかについてアンケートを実施し、多変量解析によりその効果を分析した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度以降は予定通り、ものづくりに関する対話モデル構築及び実証研究を行う。対象はものづくりのうち、衣服、木材、あるいは革製品の中から選定する。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通り使用したが、物品の購入が不要となったため残額が生じた。次年度に実施するワークショップにおいて物品購入に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)