2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K12505
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
伊藤 博 名古屋商科大学, 経済学部, 教授 (10705908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川副 延生 名古屋商科大学, 経済学部, 教授 (00177693)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | SDGs / 未来都市 / 政策評価 / 政策促進 / ソーシャルマーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本科研費に直接関連する論文や書籍、学会での発表はなかったものの、研究活動は積極的に行われた。特に、国際学術誌「Urban Affairs Review」に投稿した論文「Transforming a day-laborer’s quarter into a social welfare district: An analysis of the case of Kotobuki in Yokohama, Japan, using public choice and neo-Hegelian theories」では、編集者および査読者からの有益なコメントを受け、それに基づいた加筆と修正を行い、内容を充実させた後、再提出した。この論文では、公共選択理論と新ヘーゲル派理論を用いて、横浜市の寿地区がどのように社会福祉地区へと変貌を遂げたのかを分析している。
さらに、トヨタの「ウーブンシティ」プロジェクトを事例に取り上げた新たな論文「Urban planning with Toyota's Woven City: The case of Susono, Japan」を執筆。この研究では、持続可能な都市計画と技術統合がどのように都市の機能と市民の生活に影響を与えるかを探求し、その論文を国際学術誌「Regional Studies, Regional Science」に投稿した。現在、同論文は査読中であり、「Under Review」の状態である。この研究活動を通じて、都市計画の新たな理論的枠組みや実践的応用に関する知見が期待される。
これらの研究活動は、都市計画と社会福祉の分野における理論と実践の架橋を目指しており、国内外の学術界において注目される成果となることが期待される。今後も引き続き、研究成果の質の向上と、国際的な学術交流を深めることに努めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソーシャルマーケティングを概念的枠組みとして、SDGs未来都市をはじめとする環境都市の推進を行う論文「Marketing eco-cities」の執筆のため、以下の都市を訪問し、担当者にインタビュー調査を行った。 それらの都市とは、御殿場、札幌、熊本、金沢、富山、豊島、いなべ、亀岡、裾野である。また未来都市Woven Cityに関する論文「Urban planning with Toyota's Woven City: The case of Susono, Japan」のために以下の人物にインタビューを行った。それらの人物とは、静岡大学の朱曄先生、東京大学の関本義秀先生、裾野商工会の職員、非営利法人みらい建設部の職員、トヨタ自動車グループの職員、Fujisawa Sustainable Smart Townの職員である。さらに、関連する以下の書籍を熟読し、論文執筆の参考とした。Dear, M. (1994) The service hub concept in human services planning. Pergamon.Marr, M. Better must come: Exiting homelessness in two global cities. IIr Press. Stan, G. (2015) Planning support systems and smart cities. Springer.Stevens. (1997) On the margins of Japanese society. Routledge.Willse, C. (2015)The value of homelessness: Managing surplus life in the United States. University of Minnesota Press.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、先進的な都市計画に関する研究をさらに深化させるため、特にトヨタの「ウーブンシティ」プロジェクトに焦点を当てた論文「What is it if not a corporate smart city? Redefining Toyota's Woven City」および持続可能な都市開発をテーマにした「Marketing eco-cities: The case of SDGs Future Cities」の執筆を進める予定である。これらの研究は、それぞれ企業が主導するスマートシティの再定義と、SDGs(持続可能な開発目標)に基づくエコシティのマーケティング戦略を探るもので、国際学術誌への投稿を目指している。
このため、石巻、宇都宮、倉敷、舞鶴、松山、郡山、南砺、富田林、恩納村、石垣島といった各都市を訪問し、現地の担当者にインタビューを行う計画を立てている。これらのインタビューから得られるデータは、日本国内のさまざまな地域が直面する独自の課題や成功事例を明らかにし、よりリアルで具体的な事例研究を論文に反映させるために不可欠である。
また、論文執筆においては、エコシステムの持続可能性、シティマーケティング、シティブランディングに関連する最新の学術論文や書籍を熟読し、理論的な背景や先行研究の成果を取り入れることが予定されている。この学術的なリサーチを通じて、都市計画と環境政策の交点における新しい洞察を提供し、持続可能な都市開発に対する理解を深めることを目指している。
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Causes of Carryover |
まず、旅費に関しては、勤務校から提供される研究費を活用している。これにより、研究活動に必要な交通費や宿泊費を賄い、予算の効率的な使用を心掛けている。しかし、英文校正の費用は比較的高額であり、勤務校の研究費ではカバーが難しいため、科学研究費補助金(科研費)の使用を計画している。前年度の研究では、対象都市への訪問インタビューと文献研究が主な活動であり、これにより論文執筆は進展しているものの、高品質な出版物としての仕上がりを保証するためには、英文校正が不可欠である。前年度の活動の中で、英文校正のために一定の予算を計上したが、それは1回分の校正費用として残されている。この予算は、論文執筆が完了し次第、英文校正費として活用される予定である。この英文校正は、国際的な学術雑誌への投稿を目指す論文の質を確保する上で重要な役割を果たす。そのため、この費用は論文が国際的な基準に適合し、広い読者層に受け入れられるようにするための重要な投資となる。
さらに、来年度の研究予算計画では、旅費だけでなく英文校正費にも注意深く配慮する必要がある。特に、論文が多数予定されている場合は、複数回の校正が必要となる可能性が高いため、科研費の申請額を適切に設定し、計画的に資金を確保することが求められる。このようにして、研究の各段階での費用対効果を最大化し、学術研究の質を高めるための戦略的な予算管理を行うことが重要である。
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