2023 Fiscal Year Research-status Report
「困難な歴史」としての公害経験を学習し継承する主体形成過程の研究
Project/Area Number |
22K12507
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
清水 万由子 龍谷大学, 政策学部, 准教授 (60558154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 善仁 中央大学, 文学部, 准教授 (30437181)
安藤 聡彦 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40202791)
林 美帆 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 客員研究員 (40833603)
除本 理史 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60317906)
川尻 剛士 山口大学, 教育・学生支援機構, 助教 (40976156)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 公害経験 / 困難な過去/歴史 / パブリック・ヒストリー / 歴史実践 / アーカイブズ / 記憶と想起 / 災害経験 / 多視点性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、「困難な歴史」としての公害経験を学習・継承する主体形成過程を明らかにし、国内外に発信することを目的とする。2023年度は、大きく分けて3つの研究に取り組んだ。 1つは、これまでの研究成果について議論を深め、困難な過去/歴史の継承というテーマにおける論点を明確にすることである。2023年2月に刊行した『公害の経験を未来につなぐ:教育・フォーラム・アーカイブズを通した公害資料館の挑戦』(ナカニシヤ出版)の出版記念シンポジウム(2023年4月30日)をオンラインで開催し、コメンテーターおよび参加者からコメントをいただいた。また、研究分担者の川尻剛士氏による公害経験の継承をめぐる批評論文と研究代表者の清水による回答論文が『季刊経済研究』に掲載された。 2つめは、困難な過去/歴史という点で公害経験と共通性があると思われる災害の経験継承について、災害伝承に関する実践に取り組む研究者等との交流を行なったことである。日本環境会議仙台大会シンポジウム「災害の経験継承とデモクラシー」事前研究会(2023年8月31日)及び同シンポジウム、日本災害復興学会の2研究会および他の科研費プロジェクトとの共催研究会(2023年9月26日)を開催し、東日本大震災および阪神・淡路大震災の経験継承の実践について議論した。また、2023年12月には公害資料館連携フォーラムin 福島でも本研究課題の分担者らが企画運営に参加し、災害と公害を含む困難な過去の継承について、教育、資料保存・活用、表現(アート)等、多様な方法による試みについて情報交流と議論を行った。 3つめは、教育学による困難な過去/歴史の学習と継承へのアプローチについて、国内外の先行研究の読み込みによって理解を深めたことである。本研究グループは異なる学問的バックグラウンドを持つメンバーが集まるため、共通の知識基盤を持ち議論を進めることが重要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
公害経験の継承に限らず、「困難な過去/歴史」の学習と継承に関する様々な事例分析例を収集してきた。また、地域および教育実践現場でのアクションリサーチも継続して実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度中に公開シンポジウムを開催すること目指して企画を進める。公害経験を困難な過去/歴史として学習・継承する実践とその学術的意義について最終年度に研究成果をとりまとめられるよう準備する。
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Causes of Carryover |
関連するテーマで他の競争的研究費を獲得するなどして、研究会を合同開催とするなどによって支出が不要になったものがあったため。次年度は公開シンポジウムの開催に向けて出張旅費や研究補助謝金などに使用する予定である。
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