2022 Fiscal Year Research-status Report
Community-based Measures to Mitigate Human-Elephant Conflict: Focusing on Chasing away activities
Project/Area Number |
22K12527
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩井 雪乃 早稲田大学, 平山郁夫記念ボランティアセンター, 准教授 (80507096)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アフリカゾウ / 獣害問題 / 追い払い / コミュニティ主体 / セレンゲティ国立公園 / タンザニア |
Outline of Annual Research Achievements |
●研究目的: 本研究は、アフリカゾウ獣害問題の解決のために、コミュニティがすでに持つ力を生かした対策手法である「追い払い隊」に着目し、①追い払い隊を組織し、持続的な運営を可能にする要因/阻害する要因、を解明する。そして、②上記①から得られる知見をもとに、追い払い隊を導入し、地域に適合する社会実験を試みる。これによって、ゾウ獣害対策の地域コミュニティへの適合メカニズムを明らかにし、持続的な被害軽減に寄与することを目的としている。 ●研究方法と成果: 22年度は、8月に現地調査を実施した。コロナ禍によって3年近く現地訪問できていなかったため、セレンゲティ県内広域でのゾウ獣害状況を確認した。5つの村(ロバンダ、ミセケ、モトゥケリ、シンギシ、イハララ)において、主要な関係者(ゾウ追い払い隊メンバー、村長、区長、被害農民)へのインタビュー調査、被害現場実地調査、追い払い活動参与観察等をおこなった。その結果、被害が発生している26村のうち、観光ホテルによって電気柵が設置された地域(5つの村)では、被害がほとんどなくなり、農地が拡大していることが明らかになった。その一方で、電気柵のない村では、引き続き被害は拡大していた。また、ドイツのNGOにより追い払い隊の設立が進められており、タンザニア政府機関や国際組織が追い払い隊を対策手法として重視していることが明らかになった。 また、1件の図書出版および2件の学会発表をおこない、研究成果を順調に公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゾウ獣害被害の規模、追い払い隊組織化の状況を把握し、調査対象村の絞り込みができている。これにより、次年度は、絞り込んだ村で長期調査を実施する計画である。また、1件の図書出版および2件の学会発表をおこない、研究成果を順調に公開している。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度は、所属大学から特別研究期間を取得し、4-9月の6ヶ月間の長期現地調査を実施する計画である。調査対象として6村を選定し、追い払い隊組織化の現状および、その過程をインタビュー、被害農地実地調査、追い払い活動参与観察から調査する。ここで得られたデータを比較検討し、目的①追い払い隊を組織し、持続的な運営を可能にする要因/阻害する要因を抽出する。 さらに、目的②のために、対象村の追い払い隊を支援する活動を実施しつつ、変容過程を参与観察する。 日本に帰国してからは、学会発表および論文執筆を進める。
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Causes of Carryover |
22年度前半は、コロナ禍の影響がまだ残っており、出張しずらい環境があり、学会発表等の出張を実施することができなかったため次年度使用額が生じた。 23年度は、4-9月に6ヶ月間の特別研究機関で現地調査を実施するため、その期間の旅費・謝金・その他として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)
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[Book] 環境社会学事典2023
Author(s)
環境社会学会(編) 岩井雪乃
Total Pages
742
Publisher
丸善出版
ISBN
978-4-621-30754-0