2022 Fiscal Year Research-status Report
ジブチにおける外国軍基地に関する研究ー基地依存国家の持続可能性
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22K12549
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
西岡 淳 帝京大学, 外国語学部, 教授 (20931950)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ジブチ / 海賊対処 / アメリカ軍基地 / フランス軍基地 / 自衛隊拠点 / 中国人民解放軍基地 / テロ対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 研究の遂行に必要な機材(デスクトップパソコン、プリンター及びICレコーダー)を調達し、研究インフラを整備した。ICレコーダーは現地調査の際の聞き取りに活用した。現地調査において、ジブチ、ソマリア関連の文献を購入した。 2 2022年8月25日から9月8日、ジブチを訪問し現地で情報収集を行った。同地においては外国軍基地(米・仏・伊・日)の訪問、ジブチ政府関係者及び現地外交団からのヒアリング、ジブチの研究者との意見交換等の活動を行った。このほか市内各地を視察し、2015年当時の状況との比較を行った。 3 外国軍基地の訪問で得た印象は次の通り。アメリカは基地内の施設の改増築を行うなどしていることからも、引き続き基地を維持する姿勢が見られ、ジブチの基地の重要性に関する認識を変えていないことが伺われた。フランスは、オランド政権がそれまでの政策を変更し、基地規模の縮小が止まっている。基地内の建物建設が行われていた。アフリカにおけるフランスの影響力の維持という観点から、ジブチの基地の存在を研究する視点が必要であると感じられた。イタリアに関しては、食料・飲料水を本国から空輸しており、これほどのコストをかけてまで基地を維持する目的が今一つ不明である。周辺地域の旧宗主国であることとの関係で、リージョナルパワーとしての存在感の誇示かもしれない。自衛隊拠点に関しては、開設以来すでに10年以上が経過しており、施設の老朽化が目立っている。海賊事案がほぼ皆無となった状況において、海賊対処法を根拠とする拠点維持が孕む問題と向き合う必要性を迫られている。中国人民解放軍基地は、付近まで接近したが、厳重な警備が施されており、無用のトラブルを避ける上からも、近距離からの写真撮影等は差し控えた。基地の規模の大きさに圧倒された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査によって、現状の把握を行った。特に、中国人民解放軍の基地を遠望ではあったものの実地に見ることで、その規模の大きさを実感した。同基地の存在は、研究課題の中で重点的に取り組んでいく必要性を確認した。また、アフリカ地域における米仏の軍事的展開の脈絡でジブチの基地を位置づける視点が十分に確立していないので、今後の研究で明らかにしていきたい。 今回の現地調査の結果を論文としてまとめる作業を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査が鍵であるので、今後も年最低1回はジブチを訪問する。 特に、ジブチでは、今年2月に議会選挙が実施され、予想通り与党が勝利したところ、次に焦点となるのは、今年、憲法が規定する75歳定年を迎えるゲレ大統領の去就である。今年はジブチの内政面の動きをより深くフォローしていく必要がある。 また、ジブチの経済情勢に関して、世銀・IMFの担当者からもヒアリングを行うべく準備する。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも節約によって旅費に残額が生じたものです。2023年度の現地調査において使用することと致したい。
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