2022 Fiscal Year Research-status Report
口蹄疫を対象とした地域のリスクマネジメントにおける合意形成手法の開発
Project/Area Number |
22K12560
|
Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
阿部 真育 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (50727948)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | リスクマネジメント / 合意形成 / 動物由来感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター(CADIC)から提供を受けた農場の世帯主や後継者並びに保有している家畜種別や頭数のデータを用いて、主に公的支援配分モデルの構築を進め、農場経営者の高齢化や後継者不足の公的支援の地域別分類の方法論の構築を試みた。その成果に関しては、The 12th International Conference of the International Society for the INTEGRATED DISASTER RISK MANAGEMENTにて発表を行った。 なお、次年度以降に予定していた国内の獣医師や地方自治体関係者等へのヒアリングに関連して、国外のヒアリングを実施できる機会が生じたため、当該年度に口蹄疫が流行したインドネシアのウダヤナ大学、ガジャマダ大学、並びにその地域の防疫責任組織へのヒアリングを先行して実施した。その結果、構築するモデルの拡張に必要な継続的な意見交換やデータ提供協力等に関して、人的ネットワーク構築を実現できた。 さらに、モデルの拡張性検討のために、口蹄疫以外の重篤動物由来感染症に関する研究も先行して進め、近年国内にて流行してきている牛白血病に関するデータの提供をCADICから受け、遺伝子情報とウイルス量だけの小規模データからスーパーレジスタンス候補となり得る遺伝子番号を抽出する方法論を構築した。その研究成果の一部に関して、第165回日本獣医学会学術集会にて発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
継続的なモデルの精査は必要な状況ではあるが、宮崎大学CADICからのデータ提供も滞りなく行われ、公的支援配分モデル、更には口蹄疫以外の危機管理モデルの構築が順調に進み、研究成果の公開も実施できている。 さらに、国内とは家畜の飼養形態が大きく異なるが口蹄疫の流行が見られる、国外における人的ネットワーク構築やデータの取得も先行して行うことができており、モデルの拡張可能性の実現度に関して非常に高いレベルで研究を進められている。
|
Strategy for Future Research Activity |
構築したモデルの精査は継続して行うと共に、危機管理モデルの実証可能性についても先行して検討を始め、モデル拡張の方向性決定の要因の一つとする。 モデルの精査や拡張のために必要不可欠な人的ネットワークの構築とヒアリングに関しては、国内外問わず継続的に行う。 但し、研究材料が動物由来感染症であるが故に、大規模な感染症災害が生じた際には、現地対応者にとっての優先順位は災害対応が最も高くなると共に、国外渡航の制限も厳しくなると考えられる。そのような状況の発生可能性を常に考慮しながら研究を進めることとする。
|