2022 Fiscal Year Research-status Report
Reconstructing Citizenship through Cultural Activities: A Case Study in Israeli Arab Society
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22K12573
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
田浪 亜央江 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (70725184)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | パレスチナ / 演劇 / ハイファ / 市民性 / 文化活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はもともと現地調査を予定せず、次年度以降の現地調査の準備期間としていた。現地の著名な演劇人による自伝や、近年の上演作品の脚本数本に目を通した。また、当初調査対象候補としていたイスラエル領内のアラブ地域の文化団体に関して近年の活動状況(上演状況や広報活動、関係者らのインタビューや発信内容など)を調べ、研究調査対象としての妥当性を検討した。その過程では、ハイファの「アラブ文化協会」の関係者とオンラインで打ち合わせを行ったほか、同協会および「モサーワー・センター」主催のオンラインシンポジウムにも参加する機会を得た。 その過程で、2015年からイスラエル政府の助成金不交付が決まったミーダーン劇場が、2022年中に最終的に閉鎖されたことが確認できたほか、助言を得てきた現地インフォーマントの身辺事情等の理由から、当初予定したように演劇団体を中心とした調査は難しいことが判明した。演劇団体では、「公的資金が投入され、イスラエル政府の関与が強い文化団体」のカテゴリーとしてヤーファの「サラーヤー劇団」、「政府や既成基金と距離をおく自立志向型文化団体」として「ハシャビー劇場」を調査することになるが、演劇だけでなくパフォーマンスアートを中心にさまざまな活動を行っている機関を対象とする方向で軌道修正を検討中である。「外国政府や国外の基金の助成に依拠し、イスラエル政府の関与の低い文化団体」は、当初ラインナップした団体を訪問する目途がついた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ終息状況が見通せなかったこともあり、本年度は現地調査はせずに、インターネットでの定期的な情報収集や、文献調査を行った。演劇関係のテキストとしては、ミーダーン劇場で長く活動した著名演劇人フアード・アウドが2020年に出版した自伝や、同劇団の閉鎖のきっかけとなった「パラレルタイム」の脚本、サラーヤー劇場の上演作「タンズィームの日々」の脚本などに目を通した。 現地調査の準備の年という位置づけであったため、進捗状況の進展の程度の判断基準は必ずしもはっきりとしたものではない。しかし本年度における調査を通じて現地調査の必要性や目的を明確にしただけでなく、現地での調査の前に状況の変化を把握し、研究テーマに影響を与えない範囲で軌道修正も出来た。したがって、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度および2024年度に現地調査を行い、インターネットや文献調査では十分に捉えにくい現地事情について情報収集を行う予定である。閉鎖に追い込まれたミーダーン劇場、順調に活動を続けるアラビア語とヘブライ語のバイリンガル劇場であるサラーヤー劇場などいくつかのケースをふまえ、イスラエル国家におけるパレスチナ文化表現の制約、「リミット」について検討する。そのうえでイスラエル国内で活動するパレスチナ文化関係者が、国家やマジョリティ社会と共存するためのいかなる生存戦略を有しているのか、またそうした対応を通じてマイノリティと国家の関係をどのように再構築しているのかの道筋を示したい。
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Causes of Carryover |
残高が僅少(414円)であることから火急の必要にない物品購入を控えた結果であり、次年度使用計画に影響を与えるものではない。
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Research Products
(1 results)