2022 Fiscal Year Research-status Report
「妻の地位」をめぐる法と感情-18世紀イングランドにおける男性たちの実践
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22K12648
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
赤松 淳子 学校法人文京学院 文京学院大学, 外国語学部, 准教授 (60723004)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 議会における離婚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、婚姻における「妻の地位」と「妻の権利」をめぐる18世紀イングランドの男性たちの感情の動きから、近代フェミニズムの生成プロセスを明らかにすることを目的としている。初年度は18世紀の男性たちが離婚するにあたりどのように法を利用したのかを把握するためにイギリスの文書館で文献調査を行った。 出張期間が限定されていたため、調査史料を二つに絞った。ひとつは、Parliamentary Archivesに所蔵されている議会離婚に関する史料である。18世紀の離婚は裕福な階層の夫たちに開かれていた。彼らの法をめぐる感情を明らかにするためには、同史料の調査が必須である。文書館では1日に閲覧できる史料の点数に制限があり、18世紀初期、中期、末期の事例数点に絞って調査を実施した。もうひとつは、教会裁判所史料である。離婚を成立させようとした夫たちは議会での手続きの前に、教会裁判所での訴訟手続きを踏んだ。今回の調査では、Lambeth Palace Libraryのアーチ裁判所史料、London Metropolitan Archivesのロンドン主教裁判所史料を調べた。上記の2種類の一次史料を読みながら、二次史料と比較し、18世紀の離婚手続きにおける夫側の法運用についておおよその知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は18世紀の議会における離婚についての史料を調査することができた。これを基点に今後の研究で用いる史料を選定していく方向性が定まっているため、良い進捗であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
Parliamentary Archivesでの調査を2023年度も継続し、議会離婚の事例をできるだけ多く集める。同時に、議会の手続きに至る前の教会裁判所の訴訟事例の調査も引き続き行う。長めの出張期間が取れた場合は、地方の文書館にて家族文書にあたる予定である。出張期間がかなり制限される場合は、メディア史料の分析に時間を割く。2024年から2025年は、補足史料の調査にあてたい。
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Causes of Carryover |
イギリスでの調査が年度末(3月)であったため、出張の清算が遅れ、収支状況に反映されていない。
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