2023 Fiscal Year Research-status Report
チェレンコフ回折放射光計測による高精度ビーム位置モニターの開発
Project/Area Number |
22K12660
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南部 健一 東北大学, 電子光理学研究センター, 技術専門職員 (00422072)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | チェレンコフ回折放射 / 非破壊ビームモニター / ビーム位置モニター |
Outline of Annual Research Achievements |
チェレンコフ回折放射光の強度は、荷電粒子と媒質(誘電体)間の距離(インパクトパラメータ)に応じて、変化する性質を有すると考えられ、この放射特性を応用した、非破壊ビーム位置モニターの基盤技術の確立と、原理実証を目指して研究を行っている。ビームモニターに応用するためには、チェレンコフ回折放射の放射特性を把握することが必要不可欠である。今年度は、従来の測定セットアップの課題であった、ラジエータ(誘電体)支持金具からの回折放射の影響を抑制するために、その支持方法を変更した新しい実験セットアップを構築し、チェレンコフ回折放射のインパクトパラメータ依存性、角度分布及び波長スペクトルの測定を行った。新しいセットアップによりS/N比が向上したことで、放射強度のピーク位置はインパクトパラメータによらず、その放射強度のみが変化することを、より詳細に確認することができた。波長スペクトルはマイケルソン干渉計を用いた自己相関法で得ているが、これによって得られるインターフェログラムの妥当性を確認するため、周期構造を有するラジエータを用いた場合に放射される、狭帯域チェレンコフ回折放射の測定セットアップを構築した。チェレンコフ回折放射と異なり、狭帯域チェレンコフ回折放射は、観測角によって放射波長が決まる。この特性を利用して分光システムの検証を実施した。その結果、光源の大きさの影響により分解能が低下していることが判明した。しかしながらこれまでの実験で得られた波長スペクトルが、理論的に予測されるスペクトルより低周波数側にシフトする原因については、光源の大きさによる影響のみで説明することは難しいため、更なる調査が必要となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
チェレンコフ回折放射強度のインパクトパラメータ依存性と角度分布の測定は完了したものの、波長スペクトルが理論的な予測と異なっている原因が明らかになっていないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
数値シミュレーションを用いて、チェレンコフ回折放射の波長スペクトルが理論的に予測されるものと異なっている原因を明らかにし、早急に原理実証実験を行う
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:部品の設計変更により実験セットアップの改造に要する費用を削減することができたため次年度使用額が生じた。 使用計画:分光器改造用の部品や論文の英文校正費に充てる予定である。
|