2023 Fiscal Year Research-status Report
磁気コンプトン散乱イメージングによる、三次元磁気状態観測手法の開発
Project/Area Number |
22K12677
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
辻 成希 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (90573113)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 磁気コンプトン散乱 / コンプトン散乱イメージング / 磁気イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、磁気コンプトン散乱イメージング手法を開発して試料内部の磁気状態を観測することを目的としている。磁気コンプトン散乱を行うには円偏光高エネルギーX線が必要であるため、実験はSPring-8 BL08Wで行った。実験には、BL08Wで利用されているコンプトン散乱イメージング装置に、プロジェクション電磁石を導入して実験を行った。通常のイメージング装置と異なる点は、検出器の位置が垂直から水平に90度方向に変更されている点である。昨年度で実施した研究内容から磁場を印加した透過X線に磁気効果があることが判明したため、透過光で磁気ヒステリシス測定が可能であるかの実証を行った。試料にはFe多結晶体を用いて行った。磁場はプロジェクション電磁石を用いて印加し、-0.3Tから0.3Tまで0.01Tステップで測定を行った。その結果、磁気ヒステリシスを得ることに成功した。ただし磁気効果は非常に小さいため、通常のSSDを用いた計測に比べて非常に効率が悪いことがわかった。しかし、透過光に磁気効果があるため、透過光を用いた磁気イメージング(最終的には磁気CT)が可能であることを示唆している。そこで、透過光の観測にビームモニターを用いて磁気トモグラフィーの観測を行った。磁気トモグラフィーは、磁場を反転させてトモグラフィーを測定し、その差分を得ることにより計測した。非常にわずかであるが、磁気効果があることが判明した。現在は、磁気CTの実現に向けて実験準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
透過光に磁気効果があることは想定していなかったため新たな実験準備が必要となったが、磁気トモグラフィーの可能を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
磁気トモグラフィーの計測を行い、最終的には磁気CTの可能の検討を行う。
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Causes of Carryover |
SPring-8での実験で、採択時間が計画より短かったため次年度使用額が生じた。
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