2022 Fiscal Year Research-status Report
システムデザインと建築・都市デザインを融合したデザイン手法の確立
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22K12681
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坂口 和敏 山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (70467497)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スマートシティ / サイバーフィジカルシステム / システムアーキテクティング / シチズンシップ / 善 / 社会的規範 / 生命関係学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はスマートシティの構想立案を対象としたサービスデザインにおいて、サイバーフィジカルシステム(以後CPS)のデザインを可能にするデザインツール開発を目的とする。従来のワークショップではスケッチシートを使ってサービスイメージを可視化している。しかし、ワークショップで作成したスケッチは、スケッチ間の関係を紐解き、CPSの全体構造を分析する必要がある。そこで作成したスケッチと文章の両方を使って、CPSの要素間のネットワークとイメージの対応関係を可視化することが狙いである。本年度はデザインツールのモデル化を行うための理論的枠組みとして以下の研究を行なった。 研究1.スマートシティの目的となる人間と地域の関係性の調査 研究2.デザインの内的制約に対する社会的規範の影響の調査 研究3.サイバーフィジカルシステムとしてのスマートシティの生命論的考察
研究1.を行なった理由は、生活者が地域に対して抱く愛着の循環がウェルビーイングと関連することに着目したからである。先行研究の調査からシチズンシップの理論を発見し、シチズンシップとしてのデザインのあり方を示した。シチズンシップはシティと同義であり、シチズンシップの達成がスマートシティの実現につながることを明らかにした。研究2を行った理由は、設計者の中で生まれる制約は社会的規範の影響を少なからず受けていると考えたからである。その手がかりとして善と制約の関係を考察し、社会的規範から生まれる善が制約を規定するモデルを示した。研究3を行った理由は、スマートシティの全体システムが動的変化を伴っていることから関連する理論を明らかにする必要性である。また、デザインツール開発に必要なサンプル収集として、山口市とまちづくりワークショップを実施した。具体的には山口市の未来構想に関するスケッチと制約のサンプル収集を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はデザインツールのモデル化を行うための理論的枠組みを研究した。 モデル化のためのサンプル収集として、山口市と大学の合同ワークショップを実施し、まちの未来構想に関するスケッチと制約の収集を行なった。しかし、予定していた複数の自治体でのワークショップは新型コロナの影響で実施できなかった。 収集したサンプルは要素・連関分析を行い、ネットワーク相関図を作成した。来年度のデザインツール原理試作に向けて機能を整理した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はスマートシティに関連するサンプル収集を継続するとともに、現実の地域課題についてもサンプル収集を行う。その理由は「スマート」の概念には必ずしもデジタル技術や情報化を必要としない場合があり、ウェルビーイング研究の観点から対象範囲を広げるべきと考えた。 本年度作成したネットワーク相関図を参考にしながら、デザインツールの原理試作を行う。
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Causes of Carryover |
概ね年度所要額どおり使用した。繰越分については来年度のツール開発費に充てる。
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Research Products
(4 results)