2023 Fiscal Year Research-status Report
透過性を有する遮蔽物と共存する光環境の解明に関する研究
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22K12685
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
内田 暁 日本大学, 生産工学部, 教授 (50297785)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 透過な遮蔽物 / 光環境 / 主観評価 / 印象 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目は透過性を有する遮蔽物を使用した主観評価実験を実施するとともに,形状を変化させた場合の遮蔽物の光学特性を測定した。 主観評価実験は前年度と同様に,透過性を有する遮蔽物を通した対象物の印象を評価するものである.具体的には複数人の実験参加者に協力してもらい,表面にシワなどが生じていない状態での遮蔽物からの観察距離や,対象物を照射する光源の相関色温度(光色)をそれぞれ変化させた場合の,複数種類の対象物の印象を6種類の評価項目ならびに7段階の形容詞対で評価するものである。主観評価の際,観察距離は50~175cmの範囲で4種類変化させるとともに,相関色温度は電球色相当の2700Kと昼白色相当の5000Kの2種類とした。実験結果に対して統計的仮説検定を行ったところ,遮蔽物からの観察距離が150cmで対象物の評価に大きな変化は認められず,また光源の相関色温度の変化よりも遮蔽物の仕様(種類)や実験時の観察角度の変化が評価結果に影響を及ぼすことが明らかとなった。 また,一般に遮蔽物の形状は波形のシワが生じていることが多い。前年度,人工的な波状のシワを作成して光学特性(拡散反射率,透過率など)も測定した。その結果,遮蔽物の形状の作成方法や測定結果に課題があった。そこで人工的な波状のシワを有する遮蔽物を再度作成し,光学特性を測定した。測定の結果,波状のシワの変化が光学特性に及ぼす影響がほとんど認められなかった。しかしながら,実験時に遮蔽物表面を観察した際,波状のシワの変化に対して異なる印象を受けたため,これらの知見を次年度以降の研究に反映させる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現実的な場面を想定して,表面にシワなどが生じていない状態ではあるが遮蔽物からの観察距離,対象物を照射する光源の相関色温度(光色)を変化させた場合の主観評価実験の実施と実験結果の検討はおおよそ終了した。一方で人工的な波状のシワを有する遮蔽物に関する光学測定も実施したが,主観評価実験の本格的なデータ取得まで到達しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は人工的な波状のシワを有する遮蔽物とした場合の,対象物の印象に関する主観評価実験を実施し,結果を検討する。 また,透過性を有する遮蔽物の光学特性として吸光度にも着目する。一般に照明工学における物体の可視光の吸収は,物体に入射した光束に対する物体が吸収した光束の比で求められる吸収率で定量化される。一方で分光法においては吸光度が使用されることから,主観評価実験の結果と吸光度との関係を比較する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は昨年度購入したものを含めて既に所有している測定機器や材料を活用することができ,新規の購入を先送りしたために次年度使用額が生じてしまった。次年度は実施予定の実験の内容に対応させて,物品を購入する予定である。
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