2023 Fiscal Year Research-status Report
評価尺度開発による決定的瞬間のデザイン原則策定のための基礎的検討
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22K12694
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
猪股 健太郎 熊本学園大学, 商学部, 准教授 (30750830)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 決定的瞬間 / 写真 / 評価尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
出来事のある瞬間を巧妙に切り取り.被写体に関する情報をありありと鑑賞者に伝達し,様々に想像を膨らませるような写真は“決定的瞬間”と呼ばれるが,本研究ではその心理的・物理的な特徴を心理学的な手法を用いて明確にすることを目的とする。すなわち本研究では,尺度構成法を用いて評価尺度を作成することで,決定的瞬間を構成する下位概念を明確にし,決定的瞬間を撮影するためのデザイン上の指針を示すこととする。これらを達成するために,2023年度は以下の研究活動を行った。 昨年度行った先行研究のレビューを踏まえ,尺度作成のための予備調査を行った。写真撮影に関してこだわりのあると回答した300名を対象として,決定的瞬間を写した写真の特徴について自由記述を求めた。その結果,動物の仕草や噴火の様子など,早い動作の進行中の様子を捉えた写真,事故や予期せぬ事象が発生した瞬間を捉えた写真,確かにある事象が生じたと証明することができる写真,結婚やお祭りの様子など,記録しておきたいイベントを撮影した写真といった画像について比較的多く言及されていた。これらの結果から,決定的瞬間の評価を行うための項目作成に向けて記述内容の抽象化を行った。さらに,評価尺度が構築された後に,これを応用して評価中の視線パターンを検討するための準備として,簡易暗室および視線計測装置の導入を行い,実験環境を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定通り予備調査を行い,実験環境の整備も行ったものの,本調査の実施までには至らなかったため,やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は尺度作成のための本調査を実施し,決定的瞬間を構成する下位因子を明確化する予定である。また,撮影機材の整備を行い,評価尺度の項目に基づいて決定的瞬間の程度が統制された実験刺激を作成したうえで,導入した視線計測装置による評価時の視線パターンについても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた本調査の実施にまで至らず,主に調査会社への委託費用が次年度に持ち越されたため,次年度使用額が生じた。次年度には,本調査と実験が実施される予定であり,残額は全て使用される計画である。
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