2023 Fiscal Year Research-status Report
Influence of the sensitivity of interoception on visual information of mental images
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22K12749
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
廣瀬 健司 北海道大学, 人間知・脳・AI研究教育センター, 博士研究員 (30706768)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 2線分長さ比較 / 弁別課題 / 心的イメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本実験の刺激条件を探索するための予備実験を行った。 具体的内容:本研究の直接の先行知見(Freyd & Finke, 1984)の一部の追試を試みた。十字の形状で提示される2線分について,垂直線と水平線のどちらが長いかを実験参加者に回答させる「長さ弁別課題」を行った。各線分は中点で交差していた。実験には,十字の刺激だけが提示される条件と,それに重畳して正方形のフレームが提示される条件があった。2線分と正方形は中心が重なっていた。2線分の長さと,それらの長さの差,およびフレームの大きさに複数の条件を設定し,フレームが無い条件と比べ,弁別が容易になる刺激条件を探索的に検討した。その結果,刺激サイズが相対的に小さく(視角3度程度),また長さの差が0.1度程度と小さい場合に,フレームによる促進効果が生じる可能性が示された。 意義・重要性:本研究の仮説検証に関する最終的な実験では,心拍を計測しつつ,上記の正方形のフレームを,心的イメージとして実験参加者に形成させる実験を行う。このような実験により,フレームの心的イメージが上述の長さ弁別課題に与える促進効果が,心拍にどのような影響を受けるかを調べる。この目標の達成には,まずフレームの心的イメージが促進効果を生じさせる条件の確定が必要となるが,その前段階として,どのような刺激や課題の条件下において,知覚刺激としてのフレームが長さ弁別課題に促進効果を与えるかを特定する実験が必須であった。本年度に行った予備実験は,この点を特定するための実験である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度の,ほとんど研究を実施できなかった期間に生じた遅れが現在も残っている。 そのため,2年度目に予定していた,仮説検証に好適な刺激条件の特定は,完全には完了できていない。 本研究の直接の先行知見(Freyd & Finke, 1984)における,刺激サイズや使用した装置などの情報が現在は失われているため,実験が探索的にならざるを得ないことも,このことの理由の一つである。なお,初年度に報告した通り,上記知見の筆頭著者との私信において,刺激と装置の情報が失われていることを確認している。 心拍測定のための機器(BIOPAC)を購入し,セットアップを終えて基本的な使用環境を整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験で把握された,仮説検証に好適な刺激条件の傾向をもとに,より正確な刺激条件を特定する実験を行う。 続いて,確定された実験条件に基づき,課題と同時に心拍を測定し,イメージの効果が心拍によってどのような影響を受けるかを検証する実験を実施する。 遅れを取り戻すにあたり,直接の先行知見だけでなく,類似の先行知見も援用して検討する条件を考案する。すなわち,前述の直接の先行知見とは課題や心的イメージの性質が異なるものの,同様に知覚過程と心的イメージの相互作用を示した知見の刺激条件を参照する。
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Causes of Carryover |
本研究の遂行には,心拍を計測するための機器(BIOPAC(BIOPAC Systems, Inc))が必要であり,これを2023年度末に購入した。次年度使用額のうち,約200万円はこの支払いのために必要となるため繰り越した。また,本研究では,心拍を計測し,それに同期して,あるいは遅延を設けるなどして刺激を提示する必要があるが,これには専用のソフトウェアが必要となる。残額はこの購入に充てる。
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