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2023 Fiscal Year Research-status Report

特殊環境を用いた動的多感覚統合脳機能の解明

Research Project

Project/Area Number 22K12754
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

青山 敦  慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 准教授 (40508371)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords神経科学 / 脳・神経 / 脳情報学 / 脳機能計測 / 多感覚統合
Outline of Annual Research Achievements

本研究では,自然には存在し得ない特殊環境を用いて,外部環境の内的な再構成過程である動的な多感覚統合機能のメカニズムに迫ることを目的としている.2023年度においては,2022年度に引き続き,先行研究において明らかにした反転聴空間を用いて,動的視聴覚統合メカニズムの検証と更新を行った.具体的には,右側(左側)から来た音が左耳(右耳)で聞こえるような特殊環境への持続的な接触下で取得した脳計測データについて解析をさらに進めた.予測符号化理論によれば,脳は経験や知識に基づいて来るべき感覚入力を常に予測しており,その予測と実際の感覚入力との誤差を最小化するように外部環境に関する内部モデルを更新している.視聴覚連合野における低周波帯域の位相に同期した高周波帯域の振幅の特性から,反転聴空間への接触によって視聴覚統合の規則を内包するこの内部モデルが動的に最適化され,聴覚誘発活動の特性から,反転聴空間への更なる接触によって視聴覚統合の規則が静的に定着していくことが示唆された.次に,反転前庭空間の構築と同空間を用いた動的視前庭覚統合の検討を行った.具体的には,回転ベッドとVRゴーグルによって上下反転前庭空間を構築し,この空間へ断続接触した際の脳計測データの解析を行った.直立/倒立と視覚刺激の上/下に関する視前庭覚照合課題下においては,視覚刺激によらず倒立条件で視覚誘発活動の減衰が見られ,頭頂領域から後頭領域への変調の存在が示唆された.更には,多角的な検討を行うため,視味覚統合に関する知見収集も行った.反転触空間については依然として技術的な問題を克服する必要があるが,上記によって2024年度の研究に備えることができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究期間の2年目である2023年度においては,2022年度に引き続き,左右反転聴空間を用いたアプローチの多角的展開を見据えて,反転聴空間を用いた動的視聴覚統合メカニズムの更なる検証と更新を当初の予定通り行うことができた.特に,視聴覚連合野における脳律動や聴覚誘発活動の特性から,予測符号化理論との関連性を見出すことができた.また,反転前庭空間の構築も当初の予定通り行うことができ,同空間を用いた動的視前庭覚統合の検討は当初の予定よりも早くに開始することができた.更には,視味覚統合に関する知見収集を行うことで,多角的検討を行えた.一方で,反転触空間の構築と同空間を用いた動的視触覚統合の検討については,依然として技術的な問題が存在する.2024年度においては,反転前庭空間を用いた動的視前庭覚統合の検討,反転触空間の構築と同空間を用いた動的視触覚統合の検討を可能な範囲で行っていく予定である.新型コロナウイルスのリスクについては依然として慎重に配慮していかなければならないものの,2023年度に得られた成果は本研究課題の核となるものであり,2023年度の計画はおおむね順調に実施できたと言える.

Strategy for Future Research Activity

2024年度においては,反転聴空間を用いた動的視聴覚統合メカニズムの検証と更新で得られた知見を基に,反転前庭空間を用いた動的視前庭覚統合の検討,視味覚統合等の多角的検討,技術的に可能であれば反転触空間の構築と同空間を用いた動的視触覚統合の検討を進めていく.その上で,これまで得られた知見を総合し,特に予測符号化理論との関連性に注目して動的多感覚統合メカニズムの包括的検討を行う.ただし,反転触空間の構築と同空間を用いた動的視触覚統合の検討が難しければ,その他の特殊環境空間で議論をする.2024年度も新型コロナウイルスの脅威は続くことが予想されるため,実験参加者が関与する実施項目に関しては,状況に応じて臨機応変に対応する.

Causes of Carryover

2023年度には,本研究課題に関する旅費や物品費等での使用を主に予定していた.しかし,予定していた国際会議や国内学会の費用,反転前庭覚空間,反転触空間の構築に必要なVRゴーグル・回転ベッドの費用を別に用意することができた.そのため,これらの使用が計画通りにはいかず,次年度使用額が生じた.次年度使用額については,成果発表に関する諸費用や物品費等に使用することを計画している.

  • Research Products

    (5 results)

All 2024 2023

All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results) Book (1 results)

  • [Presentation] 脳電磁気計測を用いたマルチモーダル脳情報処理に関する研究2024

    • Author(s)
      青山敦
    • Organizer
      脳科学若手の会 第16回春の研究会
    • Invited
  • [Presentation] 視覚情報による味知覚変調メカニズムの脳波解析2024

    • Author(s)
      小浦 真理恵,青山 敦
    • Organizer
      第63回日本生体医工学会大会
  • [Presentation] Electroencephalographic analysis of modulation of taste perception by visual information2024

    • Author(s)
      Marie Koura, Atsushi Aoyama
    • Organizer
      NEURO 2024
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 脳波を用いた視覚情報による味知覚変調メカニズムの検討2023

    • Author(s)
      小浦 真理恵,青山 敦
    • Organizer
      第62回日本生体医工学会大会
  • [Book] 脳波計測・解析の実用ハンドブック2024

    • Author(s)
      青山敦 他
    • Total Pages
      200
    • Publisher
      (株)R&D支援センター
    • ISBN
      978-4-905507-72-7

URL: 

Published: 2024-12-25  

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