2022 Fiscal Year Research-status Report
Electrophysiological evaluation of iPS cell-derived cardiomyocytes using magnetic field measurements and deep learning
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22K12785
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 隆司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10546641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 善昭 金沢工業大学, 先端電子技術応用研究所, 教授 (80308585)
山口 武志 金沢工業大学, 先端電子技術応用研究所, 研究員 (20593437)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生体磁気計測 / 深層学習 / SQUIDセンサー / iPS細胞 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、磁場測定が非侵襲・非破壊的に行えることに着目し、細胞集団中の電気活動伝播に伴って生じる自発磁場を計測することによってiPS細胞由来心筋細胞の電気生理学的評価を試みてきた。しかし細胞の自発磁場は背景ノイズに対して非常に微小であり、標準的な磁気シールド環境下で計測された磁場信号から、従来の信号解析手法で分化心筋細胞のシグナル検出を行うことは困難である。本研究ではシミュレーションにより推定した細胞磁場のピーク波形を教師データとして用いた深層学習による分化心筋細胞のシグナル検出を提案し有効性の検証を行ってきた。 2022年度はこの手法の原理実証実験として、人工的に発生させた擬似生体磁場をSQUID磁場センサーで計測し、学習済みの深層ニューラルネットワークによるピーク領域の検出を試みた。その結果、正解データとの比較において80%のピーク領域が正しく検出されたことが確認され、提案する本手法が微小な細胞磁場のピーク波形検出に有効であることが示唆された。また時系列データから特徴量抽出に用いたFSST(フーリエ シンクロスクイーズド変換)の入力周波数帯域を変えて学習を行うと、ピークの検出精度が大きく変化することが判った。背景ノイズが大きい周波数帯域を除外してネットワークの学習を行った時に検出精度が大きく向上することも確認された。 また疑似生体磁場を用いて既存のピーク検出手法との比較も行った。その結果パターンマッチングやフィルタリングなどと比較して提案する本手法の検出力が優れていることも実証された。 実際の分化心筋細胞サンプルを用いた計測においては、イソプロテレノール投与による細胞磁場のピーク数増加が認められ、変時作用の検出といった薬剤試験への応用に関して有望な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薬剤の変時作用を細胞自発磁場のピーク数の変動によって検出するという目標に対して、有望な結果が得られている。また人工磁場を用いた原理実証実験により、手法の有効性が示されただけではなく、深層学習の学習パラメーター最適化や教師データの改良なども効率的に行うことが可能となった。また測定実験と並行して細胞磁場のシミュレーションや活動電位モデルついても、最適化や数値計算の高速化などの改善を継続して行っており、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の磁場シミュレーションも可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はヒトiPS細胞を用いた実験を行う予定である。また模擬細胞磁場を使った原理実証実験に関してもデータ数を増やし、深層ネットワークのさらなる改善のため細胞実験と並行して行っていく。これら両面から研究を進め、さらに薬剤投与細胞の磁場計測データを蓄積し変時作用や催不整脈作用の検出を可能にすることを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナや世界情勢の影響により液体ヘリウムの流通が制限され、SQUIDセンサの稼働を予定していた回数行うことが困難であった。2023年度は流通が回復することが見込まれるため、実験回数を追加して行う予定である。また細胞試料の温度維持用機器の導入にも使用する。
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