2023 Fiscal Year Research-status Report
Electrophysiological evaluation of iPS cell-derived cardiomyocytes using magnetic field measurements and deep learning
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22K12785
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 隆司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10546641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 善昭 金沢工業大学, 先端電子技術応用研究所, 教授 (80308585)
山口 武志 金沢工業大学, 先端電子技術応用研究所, 研究員 (20593437)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生体磁気計測 / 深層学習 / SQUID / iPS細胞 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、磁場計測を使用した人工多能性幹細胞由来心筋細胞 (iPS-CMs) の非侵襲的電気生理学的評価という新しいアプローチを試みてきた。微弱な生体磁気信号を検出するための目的で深層学習、特に長短期記憶 (LSTM) ネットワークを使用することには新規性があり、計算生物学の現在の傾向にも沿っている。これまでマウスiPS-CMsで実証実験を行ってきており、再生材料としての品質評価やハイスループット薬物スクリーニングへの有望なツールとなることが期待できる結果を得た。検証作業が一区切りに達したと考えられたため、ここまでの成果をまとめた論文を投稿する作業を行った。論文はアクセプトされ公開中である(Sci.Rep. 14, 7296 (2024))。 マウスiPS-CMsでの成果を踏まえ、再生医療と薬剤スクリーニングへの現実的な応用を推し進めるべくヒトiPS-CMsを対象とした段階へと研究を進めている。深層学習の教師データとして使用する細胞磁気信号の数値シミュレーションデータはヒトiPS-CMsの活動電位モデルに基づくものへと変更する必要がある。分化心室心筋細胞の活動電位モデルは先行研究によって複数のモデルが提案されており、それらの中から最適と考えられたPaci2020modelを選択し、プログラムに実装した。またペースメーカー様細胞モデルはマウスのモデルをベースに、ヒトiPS-CMsにおける電気生理学データと一致するようにコンダクタンスと時定数パラメーターの最適化を行った。これら二種類の活動電位モデルを2次元配置し、ヒトiPS-CMs心筋シートについて報告された伝導速度を再現するように細胞間抵抗の値を決定し、結合組織の興奮伝播について数値シミュレーションを行った。こうして得られた電流分布から自発磁気信号を推定し、教師データの基礎となるデータを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
深層学習により検出した複数のピーク領域から適応相関フィルタ処理を行うことでバックグラウンドノイズを低減し、細胞磁気のピーク波形を再構成することに成功した。またマウスiPS由来分化心筋細胞を対象としたこれまでの成果をまとめた論文をpublishした。ヒトiPS由来分化心筋細胞からなる2次元結合組織の自発磁場を数値シミュレーションにより推定し、教師データに用いる波形データの準備が完了した。またヒトiPS細胞の培養・心筋分化誘導・心筋シート作成についてもプロトコールを決定し、実験の実施準備へと作業を進めている。サンプルの生理的温度維持については候補となる恒温パッドのテスト計測を行い、磁場計測と干渉しないことを確認した。これらのことから研究計画調書のスケジュールに沿って遅れることなく、課題は進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトiPS由来分化心筋細胞を対象とした磁気計測を行い、マウスの場合と同様に深層学習ネットワークによってピーク検出やピーク波形の再構成が可能か検証する。また深層学習に用いる教師データセットに自然な変動を導入することやLSTMネットワークの構成の見直しなど、解析面での改良も並行して行っていく。
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Causes of Carryover |
令和5年度は数値シミュレーションが中心の研究を行ったため、磁気センサの稼働に必要な液体ヘリウムの購入はなく、残額が生じた。今年度は計測実験を複数回行う予定であり、またヒトiPS細胞の培養や分化誘導実験に必要な新規の試薬類が見込まれるため繰り越した助成金と合わせて使用する計画である。
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Research Products
(1 results)