2022 Fiscal Year Research-status Report
Visualization of Neurofluid Dynamics based on Magnetic Resonance Q-space Imaging
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22K12789
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
黒田 輝 東海大学, 情報理工学部, 教授 (70205243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厚見 秀樹 東海大学, 医学部, 准教授 (30307269)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CSF / Neurofluid / QSI / MRI / Glymphatic System |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまずQSI法による水分子の微速流の定量性の限界を探るため,流体ファントムを新たに作成して実験を行なった.容積型微速流ポンプを用いて内径6mmのチューブ内に24から71μm/sの平均流速を持つ生理食塩水の層流を作った.9.4T縦型MRI を使い,独自に最適化した3D-DW-STE-EPIシーケンスにて横断面を撮像した.MPG強度を9通りに変化させ,スピンエコー法及び誘発エコー法により信号を収集した.得られた画像の各ボクセルにおいて,自作ソフトを用いてq空間を求め,これを逆フーリエ変換して変位確率分布(プロパゲータ)を得て,さらにそれをMPGの時間間隔で除することにより速度に変換した.一連の作業をチューブ内の全てのボクセルについて行ない,直径方向の速度プロファイルを,理論的な層流のプロファイルと比較したところ,両者の相関係数は0.99であり,QSI法が10μm/s以下の速度まで定量化できることを示した. 次にQSI法をマウス脳実質に対して空間6軸(±x, ±y, ±z)に適用し,速度ベクトルマップを求めた.実験は本学動物実験委員会の承認を得て行なった.個体数N = 5とし,対象部位は視床付近とした.イソフルランによる全身麻酔下にて動物を専用器具にて装置内に設置して撮像した.麻酔の管理ならびに呼吸性・心拍動性のCSFの動きや血流との区別のため,呼吸及び心電をモニタした.ファントム実験と同様のデータ処理で水分子の±10μm/s以下の微速流マップを求めた.また動物の心停止後でも同様に微速流マップを求めた.この結果,5頭のマウスのいずれにおいても,速度分布が得られると共に,その分布が生きている状態でのみ見られ,心停止後では消失することがわかった.このことから得られた速度分布が生理的活動による水分子の動きであることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ファントム実験による微速流定量性の検証から,マウスによるin vivo実験の結果を得るまでのところは計画通りに進行してきた.ここまでの結果について,国際誌(Magn Reson MedあるいはMagn Reson Med Sci)に投稿すべく現在英文校正を行なっている.計画以上に進展している点としては,上述のような一連のデータ解析を終えた後,q空間を多数(ここまでの研究では9点)のq値で得てプロパゲータを求める代わりに,ごく少数の点数(例えば3点)のqに対する信号値から速度分布を求める近似式を導いた点である.q空間の「横軸」に当たるq値は[m-1]の次元を持つ波数であるから,この逆フーリエ変換によって変位の確率分布を求めるが,最終的に得たいのはこの変位確率分布の原点からの変位量[m]である.この変位量は近似的にq空間における位相シフトとして求めることができる.この近似を使うと撮像時間は1/3程度となる.マウス実験でプロパゲータを使った場合の所要時間は6軸で8時間だったことから,上述の方法を使えば6軸で2.7時間(1軸当たり27分)で測定できることになる.これは2023年度に実施予定のヒトを対象とした計測におけるボランティアへの負担を大幅に低減できる.
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Strategy for Future Research Activity |
まず2022年度に得られた動物実験の結果は,脳内の生命活動に起因する水分子の動きを捉えていることは間違いがないと考えられる.その根拠は,SN比からみて得られた信号が水プロトンからのものであること,ならびに生きている間にのみ得られていることである.しかしながら,この動きがNeurofluid灌流によるものか,それ以外の組織の拍動などを含むものかどうかを検証するには至っていない.これを検証するためには,q空間の収集データから,通常の位相コントラスト法の原理を用いて心拍動性ならびに呼吸性の動きを分離することである.このための具体的方法を検討する必要がある. 次に上述の近似式を用いた撮像の高速化によるヒト健常ボランティアデータの収集である.このために2023年度新たに学内の倫理委員会に諮った上で,臨床機を用いた実験を進めることとする.
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Causes of Carryover |
21,158円の繰越額(2023年度の研究費助成金額合計の1.8%)が生じた理由は,研究開始当初,新型コロナ感染症の影響が残ってアジアでの国際会議がオンライン開催となり旅費支出が減じたこと,ならびにその代わりに実験日数を増やして機器使用料が増えたこと,による相殺の結果である.この繰越額は2023年度の研究における研究補助員の人件費の増額に充てて,データ処理プログラムの充実などのために,有効に使う計画である.
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