2022 Fiscal Year Research-status Report
間歇補充型血液透析濾過療法における逆濾過補充の膜洗浄効果に関する基礎検討
Project/Area Number |
22K12791
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
木口 崇彦 法政大学, 生命科学部, 助教 (00635261)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 血液透析濾過 / 逆濾過 / ファウリング |
Outline of Annual Research Achievements |
血液透析療法に用いる血液浄化器は、治療中に膜表面に血液中のタンパク質等が付着し、溶質除去性能が経時的に低下する。本研究では、間歇補充型血液透析濾過の治療中に膜を効果的に洗浄し、高い溶質除去性能を維持可能な逆濾過条件を明らかにすることを目指す。令和4年度は、水系の限外濾過実験と牛全血を用いた間歇補充型血液透析濾過実験の二通りの方法で、逆濾過による膜洗浄効果を調査した。 限外濾過実験では、牛血清アルブミンの単一成分水溶液を濾過した後の血液浄化器に対して逆濾過洗浄を行い、中空糸膜の内側表面を電子顕微鏡で観察した。限外濾過を行うことで膜表面にアルブミンが堆積し、膜のマクロ孔の大部分が閉塞したが、逆濾過洗浄後には限外濾過開始前に近い状態までマクロ孔の数が回復した。したがって、濾過によって膜表面に形成されたタンパク質の付着層や濃度分極層は逆濾過によって取り除くことが可能と考えられる。また、逆濾過による洗浄効果には補充液温度が影響を及ぼし、高い温度での逆濾過が濾過性能回復に効果的であることがわかった。 間歇補充型血液透析濾過実験では、透析液の流れを通常の向流のままで逆濾過を行う「向流逆濾過」と、逆濾過時のみ並流に切り替える本研究独自の「並流逆濾過」について、膜の洗浄効果の違いを溶質除去性能の観点から評価した。溶質除去性能維持に効果的な逆濾過方式は血液浄化器の膜素材によって異なり、ポリスルホン製の膜では向流逆濾過、ポリメチルメタクリレート製の膜では並流逆濾過が有効であることが示された。 また、本研究で着目する逆濾過によるファウリング解消の評価に加えて、水系でファウリングを擬似的に再現した様々な膜面積および膜素材の血液浄化器の性能評価を行った。この検討により、大膜面積モデルほどファウリングによる性能低下の影響を受けにくいことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に行った研究により、限外濾過実験で逆濾過の膜洗浄効果が評価可能な手法を確立した。この手法を用いて、逆濾過による濾過性能の回復には補充液の温度が影響することを明らかにした。間歇補充型血液透析濾過実験では、本研究で新たに提案する「並流逆濾過」の有効性を一部の血液浄化器において示すことができた。以上の成果が得られたことから、当初予定していた本年度の計画をおおむね達成できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、膜の孔径や膜構造、膜素材の異なる様々な血液浄化器で逆濾過による洗浄効果を評価することで、血液浄化器毎の効果的な逆濾過洗浄方法について検討する。限外濾過実験において、濾過性能を評価するとともに膜へのタンパク質の吸着量や膜間圧力差を測定することで、膜表面での濃度分極層の形成過程および温度が濾過性能に影響を及ぼす機序の解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
研究申請時に計画した研究経費から配分額が減額になったことを受け、当初導入予定とした120万円の装置の購入を取り止め、老朽化した小型の実験器具の買い替えや試薬の購入費を増額することを考えていた。研究開始時の計画では、初年度は試薬を用いた実験を多く行う予定であったが、想定より早い段階で牛血液を使用した実験の手技が確立でき、有益なデータが得られた。そのため、試薬を使用した実験から牛血液を使った実験への移行が進み、試薬の購入費の増額を抑えることができた。この抑制できた金額分(次年度使用額)については、次年度に牛血液の購入量を計画よりも増やし、血液系で実験を進めることで、本研究をさらに加速させる計画としている。
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